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私的SKE48論2nd(その5)

今回のお題は、「AKB48という現代の巫女神信仰(3/3)」

前回の続きです。

それでは最後に、一般の方達が抱いていると思われるAKBに対する仮想疑問に対して、<<日本人の伝統的な文化・宗教的な考え方>>という視点のみで答えてみたいと思います。

Q:AKBは何故こんなに人数が多いの?。ファンの人達はメンバーの数が多すぎて嫌になる事は無いの?
A:日本人は伝統的に多神教なので、数が多い事を苦にしません。八百万の神(※神が八百万柱居ると書くんだけど、実際には無限大という意味)、百鬼夜行(※この場合の百も数が多い事の例え)、魑魅魍魎(物凄くたくさんの妖怪の意)などの言葉を普通に使っており、数が多い事にストレスを感じない国民性なんですよ

Q:AKBは何故過酷なダンスレッスンをするの?。下手で良いなら別にやらなくてもいいんじゃないの?
A:巫女であるための「禊の儀」であると考えられます。巫女が神を降ろすためには信徒に承認して貰わないといけないんだけど、そのために古来巫女は何日間も断食する、冬に冷水で身を清めるなどの代償行為を行ってきました。それが十分に果たされたと信徒が認めた時に、初めて「この巫女には神を降ろす資格がある(=巫女の言葉を神の言葉として受け入れる用意がある)」という皆の総意が得られるわけです。過酷なダンスレッスンというのも、その延長線上にあるものだと考えられます

Q:AKBはどうしてムチャブリばかりするの?。アイドルにはそんな事、必要無いんじゃないの?
A:これもまた一種の「禊の儀」であると考えられます。スキルの高さで舞台に立っているわけではない彼女達にとっては、巫女として信徒の承認(←「あそこまでやっているんだから、認めてやってもいいんじゃね?」というやつです)を得るためには、絶対に必要な活動であると筆者は考えます(※売れなくて苦労した過去、というのも「禊の儀」としては大変重要ですが、AKB自体としては今からこれを行うのは不可能です)。

Q:日本のアイドルはアメリカのアイドルに比べて、歌もダンスも下手糞なんだけど、なんであんなのに夢中になれるわけ?
A:文化の違いですが、日本人はそもそも巫女の舞にスキル的な高さを最初から求めていません。農村の十歳程度の田舎娘の付け焼刃の舞がそんなに上手いわけないじゃないですか。我々はそうした物を有り難がって眺めていた、農民達の末裔なんですよ。だから一緒に盛り上がれれば、それで十分なんです。何を信仰しようが、他人にとやかく言われる筋合いは一切ありません。これが僕らが選んだ神なのですから(※日本では信仰の自由は完全に保障されていますしね)。

Q:日本の女性アイドルはどうしてあんなに幼いの?。アイドルオタなんて、みんなロリコンなんじゃないの?
A1:日本人の伝統的な価値観によると考えられます。日本では戦前(今から70年程度昔)までは、女性は女学校を卒業したら(遅くとも18歳までには)必ず結婚するものとされていました。江戸時代には一般的に「女の盛り(=適齢期)は二八(=16歳)二九(=18歳)、二十歳過ぎたら行き遅れ」と言われており、「女性の適齢期は16歳から18歳の間だ」とはっきりと言っていました。武士の間では13歳で嫁ぐ事も珍しくなかったと言います。現在は全世界的に早婚は不幸になるからやめようという風潮になっていますし、筆者的にも現在の教育システムを考えた場合早婚は望ましくないと考えますが、日本人の伝統的な価値観としてこうした価値観が残っているのは事実だと思うし、法律的には現在でも女性は16歳で結婚可能です(←本来ならばまずここを変えるべきだと思いませんか?)。極論すれば「女性が16歳で結婚するのは早過ぎる」となったのはあくまでも敗戦後にアメリカ的価値観が入ってきてからの話であって、日本人の伝統的な価値観では無いと言えるかも知れません。

A2:そもそも女性の適齢期は16~18歳である事が日本人の伝統的な価値観でした(※だから現在80歳過ぎの高齢者層には、逆にロリコンなどに対する忌避意識が薄い場合も多い)。つまり巫女になれるのは、これよりも確実に下の年齢でなければ、(農村では夜這いなどの風習があった事を考えれば)処女である確証が得られなかったのだと考えられます。つまり巫女と言うのは、そもそも12~15歳程度だったのではないでしょうか。現在の女性アイドルグループはこの位の年齢から立ち上げるケースが非常に多いのですが、現実的に想定している活動期間といった問題以外にも、こうした文化的な側面も多少は影響しているのかもしれません。

Q:AKBは何故ファンがほとんど見ていないと言われており、視聴率的にも大苦戦のガチガセや火曜曲をゴールデンタイムに大金かけて放送し続けるの?
A:本来ならば女性アイドルのターゲットには成り得ない、一般主婦層や高齢者層をファンに取り込むためだと考えられます。「無理じゃね?」と思われるかもしれません、勝算はあると筆者は考えます。AKBは日本の伝統的な価値観に則っているという意味では、実は一般主婦層や高齢者層とそんなに相性が悪くない。完全外国産のへビィメタルやラップミュージックに比べれば、百倍は受け入れられる可能性は高いのではないでしょうか。

Q:AKBの衣装はとても日本的とは言えない物ばかりだけど、あれで本当に「日本の伝統的な価値観」なんて言えるの?
A:断言できます。日本人は昔から「新しいものが大好き」「外国からの輸入品が大好き」な民族であり、『くだらない』と言う言葉の語源も、『百済の国から輸入した物で無いと価値が無い』という逸話から来ているという説もあります。歌舞伎の衣装だって今見ると江戸時代の古臭い様式の物かもしれませんが、一番最初に公開された時には過去に例が無い位斬新な物だったんじゃないでしょうか。AKBの衣装が表面上“日本的では無い”ように見えるとしても、それは日本人が「新しいものが大好き」という伝統的な価値観の結果であって、江戸時代風の着物が日本の伝統的な価値観だとは、少なくとも筆者は考えないんですけどね(←ももクロも和服路線から軌道修正したでしょ?)。

Q:AKBは何故歌よりもダンスを重視するの?。またAKBが歌に被せを多用するのは何故?
A:筆者もあまり深く考えた事は無かったんですが、良く考えると日本には欧米のように一人で直立不動で歌うオペラや、大人数で固まって直立不動で歌う合唱のような伝統があまり無いですよね。能や狂言、歌舞伎にしても常に動き(=ダンス)を伴います。また能は基本的に謡(うたい)(=ダンス&メインボーカル)と囃子(はやし)(=ユニゾン&コーラス)がセパレートなわけで、基本的には動きが重視されている気がします。AKBはこの伝統をきちんと継承していると言えるのかもしれません。

Q:AKBは何故アジアでのみ姉妹グループが増えているのか?。何故アメリカやヨーロッパには姉妹グループが出来ないのか?
A:AKBのシステムは、基本的に多神教で農村文化を持つ国でなければ機能しません。欧米は全て一神教の国ばかりなので、AKBの姉妹グル-プが成功するのは非常に困難だと考えられます。インドネシア(=ジャカルタ)に関しては本来イスラム教国の筈ですが、(筆者も知らなかったのですが)実際にはヒジャブなどを用いて髪を隠す女性は非常に少なく、多民族国家であることに加えて中国系の流入によって、実質的に多神教に近い状況と言って間違いなさそうです。また中国(=上海)に関しても本来は仏教単一神の国の筈ですが、実際にはそもそも共産党自体が宗教のような物であり、民間レベルでは西遊記の孫悟空を神として祭ったり、三国志の関羽を神として祭っている宗教が幾らでもあるそうなので、ここも実質的には多神教に近い状況であるようです。つまりAKBの姉妹グループは、成功するべき所でしか成功していないと言う事ですね。

Q:AKBの楽曲はちっとも日本的だとは思わないし、楽曲傾向もバラバラで全く方向性が感じられないのは何故?
A:日本ってそういう国だと思いませんか?。日本は年の初めには正月(神道=日本)を祝い、8月にはお盆に先祖を奉り(仏教=中国)、12月にはクリスマス(キリスト教=欧米)を祝うという無茶苦茶な国です。多神教ならではと言えるでしょう。日本という国自体が何でも有りなんだから、日本の伝統に則っているAKBもまた何でも有りなのはむしろ当然だ、と言えるのではないでしょうか。

Q:AKBを宗教だと言うのなら、メンバーに対する推し変とか推し増しとか、扱いが軽すぎませんか?
A:逆に皆さんに聞きたいのは、日本人である皆さんの現在の主教観はそんなに強固なんですか?という事です。例えば皆さんが正月に初詣に行く神社には、それぞれどのような御神体が祭られていて、神社ごとの格はどこが上でどこが下なのかをきちんと認識していて、その神社に初詣に行く必然性をきちんと自分の中に持っているのでしょうか。多分、何も考えていない方が多いんじゃないですか?。その神社には何が祭られているのかほとんど興味が無い、初詣に行く神社はその時の気分で決める、神道における最高神が天照大神だということすら知らないという方が大半なのではないでしょうか。別にその事が悪いと言う話をしている訳では無くて、要はそんな適当な感じが『日本人の伝統的な宗教観』だと思うんですよね。だからAKBに対するアプローチも、こんなにも軽い物になるのではないでしょうか。

Q:俺は無神論者なんだけどAKBは好きなんで、AKBが宗教だとか言われてもしっくりこないんだけど
A:あなたは“ついている”という言葉を一度でも使った事はありませんか。幸運という意味ですよね。では人はどうして“幸運”だったり“不運”だったりするのでしょうか。それは人間よりも上位の存在が、何らかの操作を行っているからだという事ですよね(もし完全に無神論的な考え方をするならば、全ては“確率偏差の範疇”という考え方をする筈です)。同様に“ジンクス”というのも、科学的には全く根拠の無い代償行為を支払う事によって、幸運を自分に導くという事ですよね。では誰が(その完全に無意味な行為によって)あなたを幸運に導いてくれるのでしょうか。やはり人間よりも上位の存在がという事になりますよね。大丈夫、あなたも立派に宗教を信じている一人です。ただしその神や教義が一般的な三大宗教では無く、より多神教(=アニミズム)に近いというだけの話です(でも対外的には“ブッディスト”を名乗っておくと角が立ちませんよ(笑))。つまりあなたは、<<AKBという巫女神信仰に最もふさわしい人物>>と言えると筆者は考えます。

以上

(この文章の内容は、筆者の個人的な見解であり、他の如何なる個人・団体とも一切関係ありません。また文責は全て筆者個人にあります。何卒ご了承ください)

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コメント

毎回大変興味深く読ませていただいております。
禊の儀とは面白い切り口ですね。
ネ申で富士山に登ったメンバーと、新韓国海兵隊企画を経たメンバーたちは、なんらかの幸運があったり、ごり推しを賜ったりしてますね。
例としては、大島優子は二度センターに、指原莉乃はテレビ番組に継続的に登場、北原里英のやや推され気味状態、野中美郷の「野中美郷、動く」、山内鈴蘭の「らんらんのゴルフ」企画、島崎遙香のじゃんけんセンターとマジすか3主演など。
禊(きつい無茶ぶり)を受けたメンバーは、何か期待されてるのでしょう。
ただ、上記の企画に参加したメンバーは、両方海外移籍メンバーが出てますね。
まあ、これは運なんですかね。
とりとめのない文章で、すみませんでした。
今度、2012年AKBグループメンバー大量卒業のことについて(特にNMBの多さ)記事を書いていただければ幸いです。

投稿: ねぎ男 | 2012.12.14 10:08

>欧米は全て一神教の国ばかりなので、AKBの姉妹グル-プが成功するのは非常に困難だと考えられます。

そう言ってしまうのは余りに早計じゃないですかね?
あのアメリカでもハリーポッターシリーズのような多神教的な要素も含む作品がヒットしたことを考えるとAKBが多神教的な要素を内包しているからといってそれが障害になるとは限らない気がします。
それに元から一神教ではなく、多神教的価値観が根付いていた国は少なくないですし、そういう国ではその名残を今でも感じられるじゃないですか。
AKBの多神教的側面が欧米での姉妹グループの足枷になるとしても、インドネシア(JKT)の場合と同じように多民族国家における多様な宗教観や前述したような多神教に対する親和性を考えると主要な国ではロシア・ドイツ・フランスあたりは比較的見込みがあるんじゃないでしょうか。

投稿: DJRS | 2013.01.07 05:45

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