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私的SKE48論(その4)

今回のお題は、「レコ大最優秀作品賞はAKBに何をもたらしたか(アイドル『立ち位置』論・その1)」

 AKBを総合的に分析する為には様々な角度から見ていく必要があります。前回のシリーズで主に見てきたのは「事務所の力関係」「ハイコンテクストとローコンテクストの違い」「キャラを立てるというのはどういう事なのか」といった所だったわけですが、今回のシリーズではもう一歩踏み込んで「レーベル内序列」「賞を受賞することの意味」などを見ていきます。そしてその中でも最も肝となるのがこの「立ち位置」の問題です。ここが判ってくると皆さんが今まで抱えていた疑問の多くが解決するんじゃないかなという気がします。さて今回はAKBのレコ大受賞についてですが、AKBはここまでしゃかりきになってレコ大を獲った結果、一体何を得られたと思いますか(←精神論の話ではなく、実利の問題として)。それはずばり、「立ち位置」が良くなると同時に、競演拒否されることが少なくなった事だと考えます(その筈です)。“そんなんで、何か良い事とあるの?”と思う方もいらっしゃるかもしれません。そう考える方は、芸能界と言うものに対する認識が、非常に甘い方だと言わざるを得ません(←こんな事言えるほど、俺も大して詳しくは無いんだけどさ(爆))。少なくとも秋元康氏も『芸能界で最も重要なのは立ち位置』と言っている位なので、とにかく<<「立ち位置」は死ぬほど重要なんだ!>>という事だけは肝に銘じて置いてください。

 では「立ち位置」とは一体何なのでしょうか。要するに集合写真を撮るときに誰がどこに写るかという、ただそれだけの話です。考え方としては、AKBの集合写真やダンスのフォーメーションと全く一緒です。一番格上の人(=AKB的には前田敦子)が最前列ど真ん中に位置し(AKB的に言えば立ち位置ゼロって奴です)、格下の人になるにつれてより横へ、より後ろへと「立ち位置」が下がっていきます(※より司会者に近い場所、より下手側が上座になることもあります)。非常に常識的な話ですよね。ではこの出演者毎の「立ち位置」とは一体どのようにして決まっていくのか。ここが最大の問題です。厳密な所は筆者にも判りませんが、常識的なラインとして条件を列記していきます。

<1>、芸歴:芸能界への在籍期間。ただし単純に年齢による場合もあるように見える。ここが最も重視されている気がします(多分判りやすいから)。
<2>、実績:今までに最大でどれだけの成果を挙げたことがあるのか(※必ずしも現状で無くても良い)。歌手ならばCDの最大売り上げ枚数、オリコンの最高順位など。
<3>、賞罰:歌手ならばレコ大各賞や有線大賞の受賞歴など。紅白への出演回数なども含まれる筈。
<4>、権力:所属する芸能事務所・レーベルの政治力や資金力、力関係など。当然芸能界以外での人脈も含まれるでしょうね。
<5>、その他:芸能界以外における序列など。格上になりそうな人としては、例えばスポーツで実績を挙げた人、何らかの賞を取った人、社会的な地位の高い人など。

これらの組み合わせによって、「立ち位置」は決まってくると考えられます。・・・ちょっと考えただけでも、物凄く大変そうだと思いませんか?。そもそもこれらの各項目は、どれもこれもまともに点数化することが困難な代物ばかりなので、“芸歴では上だけど実績では下”なんてケースは幾らでも有り得るわけです(というか、そんなのばっかりでしょうね)。特に問題なのは、AとBの両者が“自分の方が格上だ”と思っている場合で、調整が上手く出来なければ、両者をカメラの同一フレームに収める事は不可能と言うことになります。つまり芸能界と言う世界は、<<全員が納得した状態で無ければ集合写真一枚撮れない世界>>だと言うことであり、その調整は猛烈に大変なのだと考えられます。「立ち位置」に納得がいかないから“共演拒否”なんて事はかなり頻繁に起こっているのでしょうが、まあその辺りは回りの人達が判っていて上手く調節しているんでしょうね。

 さて相変わらず前置きが長くなりましたが、ここからはAKBの状況を見ていきます。まずはAKBの立ち上げ当初の状況を見てみましょう。

AKB(立ち上げ当初)
<1>、芸歴:なし(素人だけを集めて立ち上げたばかりなので当然です)
<2>、実績:なし(以下同文)
<3>、賞罰:なし(以下同文)
<4>、権力:なし(問題はここです。本来ならば最初から大手芸能事務所に所属していたりテレビ局がバックについたりするんで、普通は最初から少しはある物なんですよ)
<5>、その他:秋元康氏のネームバリュー。ただしこの次期の秋元康氏は「すでに終わった人」と呼ばれていて、非常に評判が悪かった。

AKBの一期生達がテレビ局や出版社などでどれだけ酷い目にあったか、容易に想像出来ますよね(笑)。でもまあ弱小アイドルなんてみんな初めはこんなものだと思うんで、秋元康氏のネームバリューがある分だけまだマシだったのかもしれません。この状況が立ち上げから約3年程度続きます。

それでは今回のクライマックス、2010.08.29「24時間テレビ」でのAKBとモー娘の共演時の状況を見てみましょう。この時点での両者の「立ち位置」的な意味での力関係は非常に難しかったとは思うんですよ。

モー娘
<1>、芸歴:13年
<2>、実績:LOVEマシーン(165万枚):1999
<3>、賞罰:レコ大優秀作品賞3回、紅白10回連続出場
<4>、権力:アップフロントは各方面に対してかなりの力がある事務所です

AKB(立ち上げ5年目)
<1>、芸歴:5年
<2>、実績:ポニーテールとシュシュ(74万枚):2010
<3>、賞罰:レコ大特別賞:2009、紅白2回出場
<4>、権力:サムディ、ホリプロ、ワタナベプロ、太田プロ、尾木プロらが相乗り

このデータだけを見れば、確かにモー娘の方が当然「立ち位置」は上になります。しかし当時のAKBのメンバーも運営もファンも、そんなことは微塵も思っていなかったでしょうね。だってこの次期のモー娘には、LOVEマシーンを発売した当時のメンバーなんて、一人も残っていなかったんですよ。レコ大優秀作品賞だって過去の話だし、紅白連続出場もとっくに途切れている。この時点でのCDの販売量はAKBの方が10倍以上多いわけだし、何と言ってもモー娘は前年の「RIVER」発売日直前に敵前逃亡までやらかしているわけで、AKB的にはモー娘に対して敬意なんて持ち様が無かったわけです(※もちろんドリ娘が非現役として接してくるのであれば、格上扱いしてあげるのは当然の礼儀です)。従ってAKBサイドとしては「モー娘に格下扱いされるなら共演拒否」は当然だったと思うし、モー娘サイドとしても過去の栄光はあるんで「AKBに格下扱いされるなら共演拒否」は当然だった事でしょう。つまり本来であればこれだけ「立ち位置」が定まらない状況だったわけだから、この両者は絶対に交わる筈が無かったわけです。

 ところが2010.08.29「24時間テレビ」において、(この時期としては)最初で最後となる、両者の共演が果たされました。「立ち位置」としてはモー娘がセンターでAKBがバックダンサー扱い、曲もモー娘の「でっかい宇宙に愛がある」でAKBはコーラス扱い。一体どうしてこんなふざけた企画が成立してしまったのでしょうか。結論としては、「AKBは24時間テレビの運営に罠にはめられた」ということです(強いて言えばAKBの方が下手側なんで格上扱いと言えなくも無いんだけど、多分そうやって言いくるめられたんだろうなあ)。だってAKBは24時間テレビの司会をやっている真最中なわけですよ。まして生放送でしょ?。逃げられる訳が無いじゃないですか。この時の映像を見ると判りますが、ど真ん中でドヤ顔で歌ってるモー娘に対して、明らかに不貞腐れた顔でゆるく手を振っているAKBメンバー達が確認できます。大島優子とか、完全に顔がこわばっているよね(笑)。この時の出来事がAKBのメンバーも運営もよほど頭にきたようで、翌年の2011.08.20「24時間テレビ」の放映日には、裏番組の「めちゃ2イケてるッ!24時間テレビ対抗テレビスペシャル!!」にメンバー4人(指原・秋元・宮沢・高城)を送り込んで、「24時間テレビ」の視聴率を潰しにかかっています(笑)。もう一つうがった見方をすると、現在AKBが行っている「東日本大震災の被災地に義援金」を送る活動も、24時間テレビの「募金活動」に対する対抗処置と言えなくも無いわけで、この時の事が未だに尾を引いているのかもしれません。・・・「立ち位置」の問題って、怖いと思いませんか?(※一時期前田敦子は24時間テレビのマラソンランナー候補となっていたようですが、前田敦子の卒業発表の時には会場に日テレ上層部が多数挨拶のために訪れていたという話も有り、AKBと日テレの間で<<強力な手打ち>>が行われた可能性が高いと考えられます。要するに日テレがAKBに頭を下げた、という事です)

付け加えれば、この時期AKB相手に「共演拒否」を表明した女性アイドルは結構多かったと思うんですよね(ハロプロ系は全部です)。よくテレビなどで女性アイドルが司会者に「AKBについてどう思いますか?」と聞かれて、「AKBさんもがんばっているし人気もあるとは思いますが、私達は方向性が違うんでAKBさんは関係ないです」と答えているのを聞いたことはないですか?。これを判り易く翻訳すると「格下扱いされるのなら、AKBとは共演拒否でコメントも拒否」ということです。例えば「ももクロ」なんかも一時期は「アイドルの枠を壊して、AKBさんを倒してトップを目指す」「(ももクロによる)天下統一をしたい」と言っていましたよね。まあAKB的にはコンサートだろうがバラエティだろうが、46・48系単独で全て成立させられるんで、別に他のアイドルの協力なんて全く必要無いので、何を言われようが共演拒否だろうが放って置けば良いという考えもあるでしょう(筆者はそう思うんだけど)。ハロプロ運営もつい最近までは、自分達だけで何でも出来ると思っていた事でしょう。でももしAKBが他のアイドルを本気で黙らせたい、あるいはAKBの「立ち位置」が上である事を飲みこませたいと思えば、果たしてどうすれば良いのでしょうか。簡単ですよね(笑)。誰がどう見ても絶対に勝てないと一目で判るプロフィールを作ってしまえば良いんですよ(←この考え方が、表題の「レコ大最優秀作品賞はAKBに何をもたらしたか」という話に繋がる訳です)。そんなわけで2012年に完成した、AKBの最新のプロフィールはこんな感じになりました。

AKB(立ち上げ7年目)
<1>、芸歴:27年(※元おニャン子のメンバーと頻繁に共演することによって、なし崩し的におニャン子の妹分的な立場にしてしまったため)
<2>、実績:2011年度のオリコン年間シングルランキングを1位から5位まで独占、オリコン史上初の発売初日でミリオン突破、ミリオンセールス7連続(継続中)、震災復興義捐金12億円突破(継続中)、被災者支援活動12回(継続中)(←これがでかいんだよ!!!)など
<3>、賞罰:女性グループとしては初となるレコ大最優秀作品賞受賞、紅白3年連続出場(継続中)、第26回日本ゴールドディスク大賞史上初のシングルベスト5独占、ビルボードジャパン4冠(最多タイ)、JASRAC賞史上初上位4作品独占(実は6位もAKB)など
<4>、権力:バーニング系3社、ホリプロ、ワタナベプロ、太田プロ、尾木プロ、長良プロ、ジャパンミュージック、吉本興業、エイベックス、SME、東宝などが相乗り

掛け値無しに、過去に存在した全芸能人の中でも史上最強のプロフィールです(下品なんで、最高のプロフィールだとは思わないけれど)。流石に2012年に入ってからは「方向性が違うんでAKBさんは関係ないです」(=共演&コメント拒否の意)という発言にはお目にかかったことがないですね(※2012.05.13「中井正広のブラックバラエティ」において、モー娘が「AKBさんの歌はカラオケでも一回も歌ったことがありません」と共演&コメント拒否を出した模様。ハロプロ運営はどこまで馬鹿なんだか(嘲笑))。このプロフィールの現実を前にしたら、普通は“共演拒否”出来る芸能人なんて、まず居ないと思うんだけどねー(マツコデラックスも指原と共演してたし)。例えば指原の「ゆび祭り」には、他のアイドル達も格下での共演を了承しました。ただこれはもちろん“誰が相手でも常にAKBの方が「立ち位置」が上だ”という話ではなくて、あくまでも<<現役アイドルの皆さんの中でAKBの「立ち位置」がどこに来るのか>>という話であり、<<どんな場合でも現役では無い方々や、別ジャンルの方々や、年長の方々の面子は立ててあげるのは当然>>なのは、社会的な常識です(笑)。例えば「ガセガチ」でも、昔のアイドルや親子芸能人大会の時には、AKBメンバーは必ず上手側のひな壇(=下座)に座っていますよね。もしAKBの現在の芸能界における「立ち位置」を知りたければ、ミュージックフェアでの席順を見てみてください。司会の恵俊彰が下手側最前列にいるのでこの位置を上座として、上手側最後列が下座になるように出演者が配置されています。これを見ると、芸能界における「立ち位置」がかなりよく判ります。AKBメンバーの席順も、最近はかなり良くなってきてますよね(※2012.05.05ミュージックフェアでの岩佐美咲の立ち位置はあまりにも強烈過ぎて鳥肌が立ちました。藤あや子や岡本真夜より上座なんだよ!!!!)。閑話休題。「ももクロ」も最近はキングレコードに移籍した関係でか、テレビでも「AKBさんはアイドルの頂点だと思うんでー」とか「私、AKBさんの事が好きすぎて困る位なんで、いつもでも私達の憧れで居て下さい」とか「私、渡辺麻友さんが好きすぎて、同じ衣装を色違いで作っちゃいましたー」とか言う人達になっちゃったのが筆者的にはかなり残念だったりします(※K君に言わせると、コンサートなどでは昔から言っていたらしい)。「ももクロ」にだけは、いつもでも尖がったままでいてもらいたかったんだけどねー(泣)。

続く。

(この文章の内容は、筆者の個人的な見解であり、他の如何なる個人・団体とも一切関係ありません。また文責は全て筆者個人にあります。何卒ご了承ください)

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