« 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その19) | トップページ | 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その21) »

新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その20)

今回のお題は、「たった一つの平嶋夏海論(別冊宝島AKB48推し!タカハタ秀太著より)」(上巻)

 そもそも商業出版においてまともになっちゃんについて書かれた文章を、寡聞にして筆者はこれ以外には一つとして見た事がありません(※本人によるインタビュー記事を除く)。せっかくなんで、今回はこれをベースになっちゃんの人となりを見ていこうと思います。ところで今回は超大回りをしてからでないとここには戻って来ないので、そのつもりでいて下さい。

 今回のシリーズではハイコンテクスト・ローコンテクストの問題と、キャラ立ちについて特に厚めに書いてきたんだけど、今回はその集大成ということで。さて筆者が「平嶋夏海こそ、AKBで最もキャラの立っている娘だ!」と言っても、多分新規の方には状況が全く理解出来ないと思うんだよね。だってなっちゃんは、メディア露出が研究生まで含めた全メンバーの中でも最低クラスなので、存在自体を知られていない可能性が極めて高いし(泣)。今回色々調べ直していく中で、ふと物凄く嫌な予感がして週刊AKBのウィキを見てみたんだけど、案の定なっちゃんはスタジオ収録には一回たりとも参加させて貰っていない事が判明(号泣)(←正確に言うと水泳大会での他の仕事に行く時の時の後ろ姿とか、大運動会なんかには参加している)。AKBINGOでの出演頻度は年に2~3回(要するに収録一回分)、有吉AKBも出演は2年間で一回のみ(しかも増田有華と2人セットで)。だからと言って劇場公演で大活躍!、というわけでもなくて、ユニットセンター曲とか全然無いし、常識人なんで一発芸をやりまくるとかひたすらボケまくると言うわけでも無い。だから普通に見ている観客には、全く印象に残っていないんじゃないでしょうか。これではキャラが立つとか立たないとかいう以前の問題で、心底「誰それ?」という世界の話ですよね(笑)。「AKB総選挙で三回連続で26位になった娘だよ」と言われれば、あー確かにそんなコもいたかもと、ようやく思い出して貰える位のポジションです。何か特徴は?と聞かれても、歌やダンスが特に秀でている訳でも無いし(相変わらず歌が弱いね)、物凄い美人とか素晴らしいプロポーションをしている訳でも無いし(胸が大きいと言うことで局所的に評判になりました)、卓越した運動能力などの際立った長所や特技があるわけでもない(声量はAKBで一番らしいけど)。逆に新規の方は、なっちゃんが何故総選挙で3年連続で26位という、アンダーガールズとしては比較的高い順位にいるのかを、非常に不思議に思っているんじゃないでしょうか。

 確かになっちゃんの場合、“残り少ない一期生”という希少性はあります。でも仮にまとめて辞めて行った5人組(戸島花・駒谷仁美・成田梨紗・大江朝美あたり)が現在まで残っていたとしても、恐らく彼女達はアンダーガールズにも入れていない可能性が極めて高い気がします。つまり単純に、“最初から居てAKB暦が長ければ誰でも総選挙で高い順位が獲れる”、という物でも無いと思うんですよ。もう正解を言ってしまいますが、なっちゃんの最大の特徴は、「これといった長所が無い」事と、「運営に干されまくっている」事と、「そんな状況でも自分のポジションを見つけて、がんばって生き残ってきた」事です。これはハイコンテクストという文脈においては最も価値の高い、『ドラマ性』を非常に強く持っているということに他なりません。この娘の生き様を見ていれば、それだけでAKBの歴史全体が俯瞰出来ちゃうんですよね。指原が「いいとも」の中でロッチ中岡にキャラ立ちについて説明した時に、「がんばっているけど報われない、ということで人気が出るメンバーもいる」と教えていますが(←ロッチ中岡は全く理解出来なかった)、なっちゃんはこの説明に完璧に当てはまります。…ただ流石にメディア露出があまりにも低すぎるんで、ファンとしてもよほどの上級者じゃないと、なっちゃんを知る所まで辿り着けないんだけどね~(泣)。とまあいうわけで、筆者的には「平嶋夏海こそ、AKBで最もキャラの立っている娘だ!」と言い切れてしまえる訳ですが、初心者向けにどれだけなっちゃんがオンリーワンな人なのかを少し見て行ってみましょうか。

第一回選抜総選挙・一期生順位  13thシングル以前の選抜回数
01位:前田敦子         12回
05位:高橋みなみ        12回
06位:小嶋陽菜         12回
07位:板野友美         12回
以上、メディア選抜(つーか、神7)
15位:佐藤由加里       ( 4回・現SDN)
16位:峯岸みなみ        12回
17位:浦野一美        ( 0回・現SDN)
以上、選抜
26位:平嶋夏海          2回
以上、アンダーガールズ

見事なまでの負けっぷりです(爆)。この第一回総選挙は勝ったらどうなるのか、負けたらどうなるのかが全く判らないという、前例が無かっただけに会場には得体の知れない空気が漂っていて、松井玲奈を始めとして物凄いコメントが次々と出てきたんだけど、なっちゃんのコメントもかなりの物でしたね。

「正直に言うとシンディもゆかりんも選抜に入っているのに、(私は)入れなくてすごく悔しいけど、でも(後略)」

まさに本心ですね。なっちゃん本人はこの時、浦野一美や佐藤由加里と少なくとも互角だという自負が有ったと思うんだけど、客観的に見ると現実的には相当大きな差があったと思うんだよね。何故かと言うと、

浦野一美:選抜回数がゼロ回で、AKB冠番組の出演率もなっちゃん並みに低いんで、一見すると同じ位不遇で報われないAKB人生を送っていそうに見える彼女ですが、実はセンターボーカルタイプでありユニットの単独センター曲(『天国野郎』はセットリストベスト100では57位というかなりの高位置)をきちんと持っています。また初代握手会の女王と呼ばれ、少ないながらも非常に強固な支持基盤を持っていた事がこの時の選抜入りに繋がりました。ドラマや舞台の出演率も非常に高く、(誰も話題にしませんが)劇場版トリック(写真出演だけど)、トリックのスピンオフテレビドラマなどにも普通に出演したり、AKBINGOの裏番組(笑)の「漂流ネットカフェ」というドラマに出演したりしていました。(AKB絡みではない)ラジオのレギュラー番組も抱えており、実質的にAKBの看板無しで芸能界に通用している数少ない人材と言えるでしょう(※恐らくAKB運営は浦野一美の早期の卒業を想定して、AKB内でのポジションを与えなかったのだと考えます)。つまり(他のメンバーとは全く違う方向性ですが)推されメンと言えなくもないんですよね。

佐藤由加里:彼女も相当の推されメンです。AKBINGOの出演回数は初期だけで優に50回を超えており、個人写真集やDVD(総数12枚は全48プロジェクトでもトップクラス!!)などもかなり早い時期から製作して貰うなどして、AKBの初代グラビアクイーンとして君臨しました。AKB時代こそユニットの単独センター曲には恵まれませんでしたが(まあ「チームA」だからしょうがない)、SDNに移籍してからは実質的なエースとして活躍し、マジすか学園でもきちんとレギュラーを持っていたりと、最終的にはSDN選抜のセンターにまで登り詰めました。

というわけです。ここまで見て貰えば判る通り、実は20名から立ち上がった「チームA」で生き残ったなっちゃん以外の全メンバーは、人気的にも「チームA」でトップクラスのメンバーばかりであり、全員がセンターボーカルタイプであり(なっちゃん以外の全員が、結果的に単独センター曲を手に入れた)、運営からの何らかの“推し”を受けていたメンバーばかりなんですよね(浦野一美だけは相当特殊だけど)。しかしなっちゃんだけは本質的にバックダンサータイプであり(恐らく今後もAKBにおいて単独センター曲を手に入れる事は相当難しい)、運営から完全に干されてメディアにはほとんど出演させて貰えず(渡り廊下に加入してからは多少マシになったんだけど)、自分よりもランクも年齢も高いメンバーが10名以上も次々とAKBから脱落していく中で、このポジションのメンバーとしては唯一人、歯を食いしばって生き残りました(この辺は拙著「平嶋夏海の物語」を読んでもらった方が早い)。これこそがなっちゃんが持つ『ドラマ性』です。本来AKBという運動体が持つ普遍的なストーリーラインである、『ごく普通の女の子が、がんばって努力して一番下から這い上がって、やがて大きな夢をつかむ』を体現している存在は、一期生ではすでになっちゃんしか残されていない(二期生以降で言えば、四期生「大家志津香」、九期生「横山由依」が最先端)。つまり現在の一期生の生き残りは運営から激推されで上から下を見下ろすポジションのメンバーばかりなのに対して、薄暗い劇場の片隅からまばゆく輝くメディアに出演するメンバー達を下から上へ見上げていた干されメン達(しかもその全員がAKBを去った)の姿を知る唯一人の人物が、なっちゃんなわけです。なっちゃんがAKBから卒業するという事は、AKBを去って行った干されメンの立場からAKBを語る事が出来るメンバーが、一期生からは誰一人も居なくなるという事を意味します。それはある意味、AKBの歴史の一つの終焉と言ってもいいでしょう。

なっちゃんが如何にオンリーワンな人であるか、何となくご理解いただけたでしょうか。「だからなっちゃんに推し変して欲しい」とか「総選挙でなっちゃんに投票して欲しい」とか言うつもりは<<全く無い>>>んだけど(笑)、48プロジェクトのメンバーの大半は総選挙で選抜に入れていない人達なわけで、果たして神7の言葉だけがAKBの総意として語られてしまって本当に良いのか、というのは筆者的に強く疑問に感じる所ではあるんだよね。その意味では、日本の歴史が偉い人達の視点のみから語られるべきではなく庶民の視点からこそ語られるべきなのではという事と同様に、平嶋夏海が歩んできた道程を知っておくことは、特に総選挙で40位以下のメンバーを推しに持つ方達にとっては、非常に重要なのではないかと考えます。本当は泣き虫だったなっちゃんが、如何にして“官房長官”と言われるまでのリーダーシップを身に着けていったのか。何故なっちゃんはバックダンサーというポジションながら大手事務所に移籍を果たし(※なっちゃん以前にバックダンサーで大手事務所に移籍したメンバーは一人も居ない)、渡り廊下走り隊のメンバーになれたのか(※ディーバ以前のAKBのスピンオフユニットには、なっちゃん以外にはセンターボーカルポジションのメンバーしかいなかった)。何故なっちゃんが、AKB劇場の出演回数の最多記録を持っているのか(他のメンバーがメディア出演を行っていた時間に劇場公演をしていたから、という以上の理由があるんですよ)。こういったことを知っておくことは、絶対に無駄にはならないと思うんだよね。

 まだまだ続くんで、一旦切ります。

(この文章の内容は、筆者の個人的な見解であり、他の如何なる個人・団体とも一切関係ありません。また文責は全て筆者個人にあります。何卒ご了承ください)

|

« 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その19) | トップページ | 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その21) »

芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26541/53444414

この記事へのトラックバック一覧です: 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その20):

« 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その19) | トップページ | 新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その21) »