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新・私的AKB48論最終シーズンⅡ(その7)

今回のお題は、「SDN48はなぜ失敗したか」

 筆者は常々「AKBには“チーム卒業生”を作るべきだ」と主張してきた人なんだけど、SDNとチーム卒業生は、明確に異なるものです。だから今まで、唯の一度もSDNに関する文章を書いたことは無かったんだけど、最後に一回位はまとめておこうと思います。 そもそもSDNと筆者の主張するチーム卒業生の最大の違いは、定期公演を行うか行わないかにあります。筆者の主張するチーム卒業生は、定期公演は一切行わず、AKBの選抜CDや大型コンサートなどに出演するだけの遊軍的なポジションであり、メンバーは他に本業を持っていることが前提でした。人数的にも16名にこだわる必要は全く無いわけで、5人しか居なくても、30人居ても、全然構わなかったわけです。しかし実際に立ち上げられたSDNは、最低でも週一回の定期公演を行うための組織でした。実はこの時点で筆者はSDNに対して強烈な違和感を持っていました。当然の事ですが定期公演を行うためには正規メンバー16名とアンダー数名の合計20名以上が必要であり、これだけの人数をAKB関連の卒業生(&移籍)でまかなうのは到底不可能です。だから改めてSDN選任のメンバーをオーディションで選んだんだけど、メンバーが揃った時点ですでに筆者的には「先は長くないかもしれないな」という印象を持ちました。何故かと言うと、コンセプトが根本的におかしかったからです。

 ここでいつものように余談に入りますが、今回は「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の違いについてまとめておきます。現在考えられているエンタテインメントの流れには「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の二つの方向性があります。中間だの、良いとこ取りだのといったものは、基本的には存在しません。あるとすれば、それはただ単にコンセプトの詰め方が甘いだけの出来損ないです。まず「ハイコンテクスト」についてですが、基本的には“知れば知るほど、面白くなる”という考え方です。ここで重要なのは情報の質と量であり、これをユーザーが取り込むことによって自分だけのストーリーやキャラクターイメージを構築したりしながら、感情移入の度合いをどんどん深めていくことになります。女性アイドルにおける代表例は、言わずと知れた“48プロジェクト”です。毎日2時間の公演が3箇所で行われ、コンビニには常時10冊以上のメンバーが表紙を飾る雑誌が並べられ、メンバーが出演するテレビやラジオは週に軽く50本以上、さらにほぼ全メンバーによるブログ&モバメがほとんど毎日更新され、CDなどの発売もグループ全部合わせれば年20回以上に及ぶでしょう。それ以外にも握手会、ホールコンサート、海外公演、舞台、映画、ドラマ出演、書籍の出版などもあります。…これだけの情報の質と量を兼ね揃えたアイドル(というかコンテンツ)なんて、過去に存在したと思いますか?。有り得ないですよね??

 逆に「ローコンテクスト」についてですが、これは“一目見ただけで、全てが判る”という考え方です。女性アイドルにおける代表例は、現在で言えば韓流アイドルの人達でしょうか。とにかく一目見て(10秒位なのかなあ)、最も見栄えが良いとより多くの人達に思われた者の勝ちです。例えば仮に5人グループがいたとして最も見栄えが良く見えるのは、全員の身長は高くて揃っていて、プロポーションは細身で巨乳で整っており、美形で似た顔立ちをしており、(歌は)声が揃い、(ダンスは)一糸乱れぬ動きをし、衣装もお揃いで露出度が高く、印象的で特徴的な動き(尻振りダンスとか猫の手袋をしてみるとか)をする方が有利でしょう。他にもアプローチとしては、「世界一歌が上手い」とか「世界一かわいい」とか色々あるとは思うんだけど、とにかく新橋の酔っ払いサラリーマンとか、情報弱者の女子高生などの最大多数が「この人(達)サイコー!、理由は判んないけど、とにかくサイコー!!」と言えば、それが「ローコンテクスト」の頂点です(理屈は全く必要ありません)。つまり現在の女性アイドルは、「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の二つの頂点に対して、どちらを目指すかを明確にして山を登り始めるか、あるいはどっちに登ったら良いかも判らずふもとでうろうろしているか、のどれかということになります。一応まとめておくと現在“48プロジェクト”が頂点に君臨する「ハイコンテクスト」の山を登っているのは、アイドリング、ぱすぽ、スーパーガールズ、乃木坂46の4つ。「ローコンテクスト」の山を登り始めたのは、東京女子流、フェアリーズ、フラワー位かな。あとは大体、ふもとをうろうろしている人達です。

 相変わらず超大回りをしましたが、要するに筆者がSDNのメンバーを始めて見た時に「先は長くないかもしれないな」と思ったのは、この人達が「ハイコンテクスト」の山を登るために集められた人達なのか、「ローコンテクスト」を極めるために集められた人達なのか、さっぱり判らなかったからです。本来なら“元社長秘書”とか、“詩吟の師範代”とかいるんだから、どう考えても「ハイコンテクスト」型の人材だと思うんだけど、言っていたのが「K-POPを迎え撃つJ-POP」なんで、方向性としては完全に「ローコンテクスト」型です。コンセプトのぶれまくりは歴然ですよね(初動から両方を極めると言う選択肢は、基本的には無いと思います)。もしSDNが「ハイコンテクスト」型を目指すのであれば、一刻も早く18禁を外して、DMMで公演をインターネット配信する必要がありました。またホテルのディナーショーなんかへ、出張公演を行っても良かったでしょう(スポンサーとかも見つかったかもしれないし)。その上でAKBの主催する全てのイベントに強行出場して、露出と実績を積み重ねて情報量を増やしていく必要があったと考えます。逆に本気で「ローコンテクスト」型の頂点を目指すのなら、そもそもオーディションで選んだ人材が根本的に間違い。最初から韓流アイドル並に容姿・スキル・実績が揃った人材を、オーディションではなくてスカウト(or引き抜き)で集めてくるべき。当然SDN選抜からは、元AKBのメンバーには全員外れてもらいます。容姿・スキル・実績がバラバラの素人の寄せ集めが短期間でテッペンが獲れるほど、「ローコンテクスト」の世界は甘かねーんだよ!!(その程度の覚悟で、非人道的な育成環境から這い上がってきた韓流アイドルと互角以上に戦えると思える方がどうかしています)。

 ただ、始まった当初はまだSDNは修正が可能だったと思うんだよね。筆者はAKBの運営をかなり高く評価しているので、軌道修正すればどうにかなる可能性はあるのかも、とずっと思っていました。筆者がSDNを「マジ、もー無理!」と思ったのは、二期生のオーディションが始まった時です。だって、意味が判らないと思いません?。AKBでは何十回もオーディションやっているからSDNも同じかな?と思っている方がいるとすれば、それは大間違いです。AKBの場合は、(建前上は)あくまでも劇場公演を毎日行うための足りない人材の補充とか、別の地域に姉妹グループを立ち上げるため、といった大義名分があります。でも、SDNが二期生を採った理由って、一体何故だと思いますか?。SDNは基本的に週一回しか公演を行っていません(本当はもう少しやっているけど)。だから劇場公演でメンバーの数が足りないとか負担が重過ぎるなんて話は、有り得ない事です。筆者的にも本当に訳が判らないんだけど(※訳の判らない事をやった会社は、大抵潰れます)、もしかしたらと言うレベルで話をするならば、<<一期生では必要な人材が足りなかった>>という事なんじゃないでしょうか。つまりもうこの時点で、SDNが人材の集め方に失敗した事を、運営が認めてしまったのではないかと。

 ただこの二期生の加入が、SDNにとっては最後のチャンスだったと言えるでしょう。ここで人材を「ハイコンテクスト」(←全員AKBの年長メンバー)か、「ローコンテクスト」(←ほとんどプロダンサー)のどちらかに完全に寄せて採れば、そして一期生を選抜から全員外して飼い殺しにする覚悟があれば、SDNには再生の道はあったと考えます。でも二期生が顔を揃えたのを見た時点で筆者は「もー無理!」と思ったし、ファーストシングルの選抜に二期生が一人しか入っていない時点で「もー絶対無理!!」と思ったし、セカンドシングルの選抜から人気投票の上位メンバーを根こそぎ外して運営が道を見失ったのを知って「もー完璧無理!!!」とか思っていました(笑)。また「ローコンテクスト」を極める覚悟も無いくせに、何故かやたら韓国を意識する姿勢も、筆者的には全く納得がいかなかったですね。なぜ作曲家が韓国人でなくてはいけなかったのか、なぜ詞に韓国語が織り込まれていなくてはならなかったのか。秋元靖氏が千曲の中からSDNのために選んだ最高の曲が、たまたま全部韓国人が作曲したものだなんて話、ある訳無いですよね(笑)。要するに楽曲に関しても、「韓国人が作曲したもの」である事を前提としたために、必ずしもベストの楽曲では無かったと思うんだよね。ここまで韓国を意識した商品を作って、どの位韓国で売れたんだろうね?(←売れてるわけが無いよなー)。SDNの評価が韓国で高かったなんていう話は聞いた事も無いし、歌番組の韓流特集に呼んで貰える訳でもない。何かマーケティングの方向性に、致命的な誤りがあったとしか思えないんだけど。少なくとも筆者はSDNの韓国傾倒に反発して距離を置いていたし、SDNのCDを買った事もありません(だって<<K-POPを迎え撃つ>>なんて言って、何もやってねーじゃん!)。

 もちろんSDN解散の引き金を引いたのは、メインスポンサーであるGREEの撤退(というかAKBへの転向)でしょうね。ここからはメンバーの視点で話を進めますが、メンバーにとってもSDNはそれほど旨みのある話では無かったと思うんだよね(だからみんな解散決定に対して、比較的冷静なのではないかと)。だってダンスを覚えるのは凄く大変だと思うし、劇場で踊るのだって一苦労なのに、お客さんは250人しかいなくて、しかもいつも同じようなお客さんばかりだし、映像がインターネット配信されているわけでもないから裾野が広がるわけでも無いし、純粋な単独コンサートすらやった事が無い。だから一般の人の話題になるわけでも無いし、ブームになるわけでも無いし、CDの売れ行きも全く増えていかなかったし(少ないとは思わないけど)、だから何らかのスカウトが頻繁に来てくれるというわけでもない。給料は安いし、身分も保証されていないし、将来の何かに繋がる可能性も少ない。メモリスト氏がメンバー観察筆記を書いてくれていなかったら、SDNの寿命は確実に一年は短かったのではないでしょうか。恐らくメンバーがSDNに期待していたのは、SDNが大量に持っているテレビ番組に出演する事による、メディア露出だったと思うんだよね(しかしテレ朝の「すっぽんの女たち」はつまんなかったね~)。だからその生命線とも言うべきテレビ番組がスポンサーの撤退によって終了するということになれば、SDNに対する未練はそこまで大きくは無かったのではないかと。まあ選抜フロントメンバーだけはSDNを続けたかったと思うんだけど、肝心のメディア露出が無くなってしまえば今のCD販売数を維持出来る当ても全く無い。メンバーにとってもこの二年のメディア露出で若干なりとも上がった認知度が、下がる前に残り少ない芸能人生で勝負をしてみたいという気持ちの方が大きかったのではないでしょうか。

 実は筆者はSDNに関してはもう一つ、コンセプトの段階からの巨大な致命傷があったと考えているんだけど、それはまた別項にて。

(この文章の内容は、筆者の個人的な見解であり、他の如何なる個人・団体とも一切関係ありません。また文責は全て筆者個人にあります。何卒ご了承ください)

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コメント

一理あるなと思いました。
SDNに移行したAKBメンバーはハイコンテクストな人材が揃っていたのに、それを活かせなかったのはもったいなかったと思います。

この理論で行くと、AKB派生ユニットで初めてメンバーの一般公募を行ったDiVAは、ローコンテクスト型で攻めるつもりなんでしょうか。
DiVAメンバーも、むしろハイコンテクストな人材な気がするのですが。

投稿: 通りすがりの者ですが | 2011.11.11 07:55

SDNが失敗したのは仕方ないと私も思います。
運営に責任があるのは明白ですし。
ただ、そのクソ運営に人生を多少なりとも狂わされたメンバーがあまりにも可哀想です。
特に不本意ながらもAKBから移籍した佐藤・浦野・大堀・野呂・小原・SKEの前田には同情します。

投稿: | 2011.11.11 10:28

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