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「教えて☆渡り廊下走り隊!」(その二)

 今回のお題は、「“渡り廊下走り隊”の『完璧ぐ~のね』は、AKB本隊に対してどんな意味を持っていたか?」について

 48プロジェクトには、大きく三つの柱があると思います。第一に『AKB選抜チーム』の成功(これについては説明の必要は無いでしょう)、第二に『SKE48』の成功(日本中にAKBの分家を設立していく中で、SKEの成功は必要不可欠です)、そして第三に『他の事務所に移籍したメンバー』の成功、です。言うまでも無く歌手ユニット“渡り廊下走り隊”は第三のカテゴリに属しており、『完璧ぐ~のね』はその3rdシングルに当たります。それではこの、(選抜チームやSKEと比べると)大して金も掛かっていない筈の弱小プロジェクトの、一体何がそんなに重要なのでしょうか。

 それは『完璧ぐ~のね』の成功が、AKBメンバーの大手プロダクションへの移籍動向に、完全に直結していたと考えられるからです。2007~2008年こそ多数のメンバーを大手プロダクションに移籍させたAKBでしたが、2009年度は10月までに大手プロダクションへ移籍できたメンバーは僅かに二名(宮崎美穂・柏木由紀)のみ。これはAKBのメンバーを獲得することに対するメリットを、大手プロダクションがあまり感じていなかったからだと考えられます。具体的に言えば、太田プロの女優達が社会的ステイタスを得られるほどの成功を収めきれていなかったこと、尾木の歌手ユニットのCDの売り上げがブレイクとまで言い切れない状況であったこと、(現役AKBの)ホリプロのタレント達のバラエティへの進出状況が思わしくなかったこと、が原因であるのは間違いないでしょう。

 こうした中で、本来ならば最も期待されていなかった可能性が高い、“渡り廊下走り隊”がキャスティングボードを握ったというのは、非常に皮肉な運命と言えます。芸能界において成果を判りやすく実感させる方法として、出演したテレビ番組で高い視聴率を上げること、発売したCDをより多く販売すること、そしてそれらの結果として何らかの賞を獲得すること、であるのは間違いありません。そして賞レースにおいて最も重要な時期である年末間近の時期になって、AKBで賞レースに参戦可能なプロジェクトが“渡り廊下走り隊”の『完璧ぐ~のね』以外に無かった、というのは本当に不思議な巡り合わせです(正確には“ノースリーブス”もCDをこの後にリリースしていますが、あんまりやる気が無かったみたいなんで、ここでは触れません)。

 ここでCDを大量に売り上げ、賞レース(例えば日本レコード大賞新人賞など)で確実な成果を上げるのと上げないのとでは、以降のAKBメンバー達の移籍動向は確実に変わってきます。『AKBのメンバーを受け入れて歌手ユニットを作ってデビューさせれば、その年の内に必ず日本レコード大賞新人賞を獲って来る』ということが各プロダクションの共通認識にでもなれば、AKBメンバーの移籍はなだれを打つように進んでいき、おニャン子クラブの全盛期なみの歌手ユニットの乱立すら夢ではありません。そしてそのことを最も強く意識していたのは、他ならぬなっちゃん自身だったのではないでしょうか。

 “渡り廊下走り隊”を結成した直後の1stシングルの発売の際に、なっちゃんは「必ずオリコンウィークリーチャートで10位以内を獲得する」と宣言し、その理由として「後からデビューしてくる後輩達に対して、悪い前例を作るわけにはいかないから(大意)」と言っていました。…移籍組の中でここまで高い意識を持っているのは、なっちゃん位のものなのではないでしょうか(そういう彼女だからこそ、この重要な局面で重要な役割が回ってくるのだ、という考え方もあります)。なっちゃんは当時ブログで“今、願掛けをしています”と書いていましたが、恐らく『完璧ぐ~のね』の売れ行きに関してでしょうね(間違っても運動会の勝利に対してではないでしょう)。仲間思いのなっちゃんのこと、メンバーの移籍がなかなか進まない現状に対して、少なからぬ責任を感じていたのではないでしょうか。

 『完璧ぐ~のね』は曲・振り付け・PVの全てで過去最高の出来だったと思いますし、プライムタイムの高視聴率確実のアニメとのタイアップなど好条件も重なり、(なっちゃんの根性主義もあって)ウィークリーで2万3千枚を売り上げました。ちなみに同じ週にCDをリリースしたキュートの3万枚は下回ったものの、ももいろクローバーの1万5千枚は上回り、その点でもきちんと責任は果しました(ちなみに同時期にCDをリリースしたノースリーブスはウィークリーで2万枚)。日本レコード大賞新人賞を獲ったSCANDAL(オリコン最高位5位とは言えウィークリーでは1万7千枚しか売っていない)と比べても、トータルのセールス枚数ではほとんど引けを取らなかった筈です(というか上回ったのでは?)。まあ諸々の条件で賞の受賞には至らなかったのでしょうが、問題は(本来AKB内で格下である筈の)“渡り廊下走り隊”が、日本レコード大賞新人賞受賞歌手を相手に互角以上の成果を挙げる事ができた、ということです(本当は受賞出きれば良かったんだけど)。それによってここまで全く動かなかったAKBメンバーの、大手プロダクションへの移籍動向と『他の事務所に移籍したメンバー』による歌手プロジェクトが一気に動き出しました。

 まずは12月の佐藤すみれのホリプロへの移籍です。如何に昇格内定が出ているとはいえ、研究生がメジャープロダクションへの移籍というのはAKB史上初の快挙です(実は筆者もホリプロが何を考えているのかまだ良く判りません)。続いて高城亜樹のワタナベプロ(系列)への移籍。中田ちさと・仲谷明香も(あまり大手とは言えませんが)後に続きました。またホリプロの板野友美と河西智美は歌手として、(よりによって)エイベックスからメジャーデビューが決定。増田有華もアニソンでソロデビュー。柏木由紀と高城亜樹はワタナベガールズを結成してユニットデビューという話もあるし、柏木由紀がソロデビューをするためにメジャーレーベルが争奪戦を行っているという噂もありますよね。繰り返しになりますが、これらは全て“渡り廊下走り隊”の『完璧ぐ~のね』の成果を見据えた上での話です。今後もAKBメンバーの移籍は進んでいくでしょうし、歌手デビューする者も増えるのでしょうが、これらは“渡り廊下走り隊”の挙げた実績の上に載っているのだということは憶えて置いていただければと思います(本当はこういうのは、ノースリーブスの仕事だと思うんだけどね~)。

(この文章の内容は、筆者の個人的な見解であり、他の如何なる個人・団体とも一切関係ありません。また文責は全て筆者個人にあります。何卒ご了承ください)

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コメント

この記事を心待ちにしてました。お疲れ様です!
渡り廊下走り隊の果たした役割は、十分理解しましたが、
なんでノースリーブスがこの役割を担わないのでしょうか?

私は、AKBファン暦が浅いので、考えてもあまり理解できません。
メンバー的にも、歌唱力的にも、客観的に考えると、ノースリーブス
のほうが売れるのではないかと思ってしまうのですが、どうなんですかね。
(決して渡り廊下走り隊が嫌いなわけではありません)

ゆきりんがソロデビューしたら、どうなるんですかね?
私的には、結構期待しても良いのかなって思ってます!

投稿: りゅう | 2010.03.10 15:31

訂正を一つ、
過去には小原・近野もチーム研究生在籍中に事務所移籍を果たしましたよ
読み応えのある分析をお書きになられるだけに、
やはり裏をとる作業は大切にしていただきたいです

投稿: kaufman | 2010.03.11 17:30

>過去には小原・近野もチーム研究生在籍中に事務所移籍を果たしましたよ

確かにその点は頭をよぎったのですが、小原春香のドレスコード、近野莉菜のイトーカンパニーリセ(は結構大きいとは思うのですが)は、筆者の主観として、一応メジャープロダクションから外して考えました。ご了承いただければと思います。

投稿: 少年王3号 | 2010.03.11 18:08

なるほど、意図があってのことでしたか
確かにホリプロは超大手ですよね
失礼致しました

投稿: kaufman | 2010.03.12 20:00

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