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My最新ドラマ感想文:「トリック三部作」(2000~2003年・日本・三作で全31話)

 CSにて再放送を全話視聴。完全ネタばれ。。内容を知りたくない方はお読みにならない方が良いかと。

 10月一週目より、毎日2話づつという超ハードスケジュールで視聴。でもけっこう面白かったので問題なし。それにしても(今更とは思うけど)、本当に仲間由紀恵はコメディエンヌとして優秀だよね。これだけ美形でこれだけギャグがこなせる女優さんは本当にいないよなあ。それだけにNHKの大河ドラマだと、ギャグがないのでどうしても実力が発揮しきれていない気がします。まるで両手両足を縛られて水泳をさせられているよう(そりゃ沈むって(笑))。ついでに山下真司も(別の意味で)すごい俳優だよねえ。「トリック」「携帯刑事」「富豪刑事」と皆勤賞だもんねえ。関係ないけどさ。

 さて本編ですが、これほどいいかげんなスタンスで作られた作品も珍しいのではないでしょうか(だから悪い、とか詰まらないとかいうつもりは全然ありません)。行き当たりばったりでさっぱり収束しない伏線、その場限りのパロディとギャグ、肝心のトリックもトランプを使ったものと鏡を使ったものを交互に使っている感じ。本来はこれで面白いわけは無いんだけど、巧みな演出と役者さんの演技と繰り返しギャグで、かろうじてドラマとして成立している気がします。そこまでも計算済みなのかもしれないけど(笑)。今回は(まだやる気満々だった)第一シーズンの伏線について考えて見たいと思います。

 本作は、究極貧乏(自称)天才女性マジシャン(仲間由紀恵)と、はったりだけの自称天才物理学者大学教授(阿部寛)のコンビが、これまたはったりだけの自称超能力者のトリックを見破って、彼らの陰謀を阻む物語です。筆者はミステリーという文学の最も根源的なスタイルは、不可能犯罪という<魔法>を、推理という<科学>で打ち破る、いわば土俗的なものを文明化していく物語だと思っています。だから得体の知れない<魔法>を<科学>が打ち破るのを見て、読者は(例え推理の内容が少しくらい納得いかないものであったとして)ほっと胸をなでおろす訳です。本来犯罪に<見立て(マザーグースの歌になぞらえるとか、手毬歌になぞらえるとか)>などというものは、絶対に必要ないものです。しかしミステリー文学においてはこれが非常に高い確率で行われています。その理由も、これらの<見立て>が不可能犯罪という<魔法>にリアリティを与えるための魔法の道具なのだと考えると、筆者的にはとても納得がいきます。

 この論でいった場合、このトリックという作品は、まさしくミステリー文学の最も根源的な部分に位置する作品だと言えるのではないでしょうか。主人公コンビの敵は、高い確率で新興宗教の教祖(つまり神そのもの)であったり絶対当たる占い師など、まさしく人間の心に潜む(土俗的な)闇の部分そのものです。そこに推理という文明の光を当てて、神だの超能力だのといった非文明的なものなど存在しないんだ、というように一刀両断していくわけです。主人公がうだつが上がらない二人だけに、これにはとても清涼感があります。

 これだけでも本作は十分に作品として成立するだけの力を持っているわけですが、実はこの作品にはもう一つ、視聴者に対して仕掛けられた大きな仕掛け(トリック)があります。それは「全てお見通しだ!」と言ってインチキを見破りまくる女性マジシャン自身が、実は本物の超能力者であるという伏線が、そこら中にばら撒かれていることです。これが完璧に発動するのは、第3シーズンの最終回の冒頭で看板が上から落ちてくるのを予知して下にいた人を助けるシーン一回だけですが(ついにその理由は明かされない・・・)、状況的に見てまず間違いないでしょう。加えて女性マジシャンの父親は高名なマジシャンで超能力ハンター(インチキを暴く)をやっていたのですが、十数年前に事故死した時に「本物の超能力者はいたんだ・・・」という言葉を残しています(本物の超能力者に殺されたっぽい)。

 これがあるからトリックはより奥深い作品になりました。つまり新興宗教の教祖の自称”神”が、トリックで奇跡を起こしているのか、本物の超能力者だから奇跡が起こせているのか、謎解きが始まるまで視聴者には全く判らなくなってしまったからです。この設定の巧みさには、正直うなってしまいました。・・・な~んてかっこいいのも、第一シーズンの5話位まで。本来このドラマは次第に父親を殺した真の超能力者の正体を暴いていき、女性マジシャンも超能力が覚醒していき、最後に超能力合戦のさなかに超能力ではない<トリック>がからんでこそ完結する物語だったと思うのですが、その構成のあまりの難しさ(あるいは人気が出てシリーズ化する必要に迫られて引き延ばしたか?)にか、その路線は早々に放棄。あとは「ズラ」「貧乳」「巨根」という言葉だけが乱れ飛ぶ、ギャグ&駄洒落大会のような作品になってしまいました(笑)。まあそれはそれで、面白いから良かったんだけどさ。

 失われた伏線だけでも、女性マジシャンの幼馴染で実家の町に住む市議会選に打って出ようとしている医者の話とか、女性マジシャンの父親が言っていた「本物の超能力者」が誰なのかとか、女性マジシャンの父親を殺したのは本当は誰だったのか、など滅茶苦茶重要なものも放り出しっぱなし。現在に至るも、全く解決していません。今後トリックの続編が作られるかは判りませんが、恐らく永久にこれらの伏線が生き返ることは無いものと思われます。やっぱ何十年も前に死んだ父親の死の真相なんかより、何ヶ月も家賃を滞納していつ家を追い出されるか判らない状況の方が遥かに切実だもんね(笑)。さて今回の教訓は唯一つ、「占いや宗教や超能力は、決して信じてはいけません」。以上!!

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