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アニメ脚本家烈伝:<弐の巻>〝スーパーヒットメイカー”星山博之 その六

「無敵ロボトライダーG7」(1980年)

 現在での一般的な評価はあまり高くないものの、これほど斬新なコンセプトに満ちた作品は他に例が無いのではないだろうか。

 筆者が知る限り、下請けとはいえ<職人コンセプター>五武冬史と、<天才コンセプター>松崎健一が顔を揃えた唯一の作品。まあ参加度合いが低いので、どれだけトライダーのコンセプトに貢献したかは謎なのだが。本作はガンダムがスポンサー(超合金を作っていたクローバー)の不興を買って打ち切りを食らった後の次回作。当然富野監督は斬首になったものの、ガンダムの構成を行った星山先生は続投となったのであった。星山先生への信頼が如何に厚かったかという証左であろうと思う。

 ”スポンサーに貢献する”という星山第二法則は、この作品辺りから明確になっていく(富野監督の次回作「伝説巨神イデオン」が如何にスポンサーに貢献しない作品であったかを考えれば、その差は歴然であろう)。ガンダムで業績が悪化したスポンサーのクローバーは、本作のおもちゃの売り上げによって(一時的とはいえ)業績を回復させている。また本作の成功により、本作の流れを継いだ二作目の「最強ロボダイオージャ」も製作されることとなった(星山第一法則)。ただし五武・松崎らが脱落したダイオージャは、ライターの質が下がりコンセプト的にも見るべき部分を失い、三作目が作られることは無かったのであるが。 閑話休題。

 トライダーが斬新だったのは、まずガキ大将である小学生(この時点ですでに十分キャラは立っているのに)が主役スーパーロボットのパイロットであるという点である。ありそうな設定ではあるのだが、本作以前にはなかったものである。星山先生は自分でも、この子供がロボットに乗るというコンセプトを(少し違った形ではあるが)、3年後に「銀河漂流バイファム」に引き継いでいる。もっと直接的にトライダーをパクった作品としては、絶対無敵ライジンオー(無敵、という時点でトライダーに対するレスペクトが感じられる)から連なるエルドラン3部作がある。次に、小学生ながら企業の“社長”であるという点。主人公の面倒を見てくれる執事的なキャラや美人秘書など、やりようによっては物凄く面白いコンセプトだと思うのだが、この点を引き継いだ作品は筆者は過分にしてほとんど見たことが無い(後年の「鉄甲機ミカヅキ」の女子高生社長くらいか。敢えて言えば、“王子様”という点で次回作のダイオージャが少し近いか)。さらに”金を稼ぐために戦う”という点。このコンセプトを持つ作品は、ルパン三世やカウボーイビバップなど大人向けの作品にはあることはあるのだが、子供向け作品でしかも100万円という明確に金額を提示した作品は、やはり他に類を見ない。これも使いようによっては、非常に面白いコンセプトだと思うんだけどなあ。”俺は社長で小学生~♪今日も乗り込むG7♪”というOPの歌詞は、いみじくもトライダーの内容を非常によく示していると思う。

 以上のように斬新なコンセプトを持つトライダーは、子供向け作品としては非常に隙の無い作品に仕上がった。ただターゲットの絞込みがあまりにも上手く行き過ぎてしまったために、現在では”大きなお友達”からは全く評価されない作品になってしまった。筆者もつい最近CSでトライダーを全話見たのだが、大人になってから見るのはやはり少ししんどいものがあった。しかし本作によって視聴者はおろかスポンサーの信頼をも得た星山先生は、年に何本もの作品(しかも原作無しのオリジナル作品ばかり!)で、(下請けではなく)シリーズ構成を行っていくことになる。星山先生にとっては、ガンダムとは違った意味で記念碑的な作品なのではないだろうか。ちなみに本作の最終回は主人公の小学校からの卒業式を描いたものであり、ロボットも戦いも一切出てこない。これもまたスーパーロボットものとしては前代未聞であり、(ストーリーテラーとしての)星山先生らしさが良く現れていると思う(ちなみにこのパターンは、「仮面ライダークウガ」で流用されている)。

 作品総括を。他の法則は一切問題ないのだが、第五法則の星山作品としては元ネタがはっきりしない数少ない作品の一つとなった。五武・松崎両名が組み上げたのだろうか?。それとも何かあるのかな?

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コメント

私も見たことないのですが、

>稼ぐために戦う

脇役ではなくて主人公が、というのは少ないのかなあ、確かに。

投稿: harada | 2006.01.21 23:40

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