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アニメ脚本家烈伝:<弐の巻>〝スーパーヒットメイカー”星山博之 その八

「爆走兄弟レッツ&ゴー」(1996年)

 まあこんだけスポンサーに貢献した作品もめったにないのではないだろうか。

 おもちゃ(ミニ四駆動)はバカ売れし、シリーズは延々3作品まで作られた(現在でも新作が作られている?)のだから不満だった関係者なんて、ほとんど居なかったのではないだろうか。その意味では星山第一・二法則の頂点とも言える作品だろう。

 ・・・ところで本作もまた、サイバーフォーミュラ(以下SFと表記)に続いてガンダムのリメイクである。ただSFと比べる、かなりひねってあるので、まずはスタッフ的な話から始めたい。例え内容が関係なかったとしても、ここまでガンダムに縁のあるスタッフを連れてくるのはなかなか難しいのでは?(笑)。まず監督のアミノテツローは富野監督の元で「機動戦士Zガンダム」のメイン演出を手がけた人物。構成の星山先生は、(言うまでも無いことだが)ファーストガンダムのシリーズ構成と、後に「ターンAガンダム」の構成を行う人物。脚本の隅沢克之は「新機動戦記ガンダムW」のシリーズ構成を行った人物。同じく脚本の千葉克彦は、「新機動戦記ガンダムW」の脚本家で、後に「ターンAガンダム」の脚本を書く人物。脚本の小出克彦は、ガンダムとは縁が無いもののゾイドシリーズを手がけるなど、SF戦記アニメとは縁が深い人物。・・・新旧入り乱れて、どんなガンダムでも作れそうでしょ?(笑)

 というわけで、まず本作のコンセプトから述べてみたい。ここからは筆者の想像が入るが、恐らくミニ四駆の「スピード」という要素がガンダムにおける「機体性能」を、「コーナリング」という要素がガンダムにおける「パイロットの技量」を司っているのだと思う。そして結論から言えば、赤いマシンを駆る「烈」がシャアであり、青いマシンを駆る「豪」がアムロにあたる。恐らくアムロとシャアが同一陣営に属して腕比べをするのが、本作の骨子なのではないだろうか。まずコーナリングを得意とする烈の赤い「ソニック」は、パイロットの高い技量を意味しており、「シャア専用ザク」の生まれ変わりと見てよいだろう。逆に直線に強い豪の青い(連邦色だ)「マグナム」は高い機体性能を意味しており、「ガンダム」と見て間違いない。本来"メカに強い”という属性はアムロ(=豪)のものだったが、ミニ四駆は走っている時はただ見ているだけなので(笑)、「上手くミニ四駆を改造(コーナリングを上手くできる)できる」=「パイロットとして技量が高い」ということになるので、シャア(=烈)の属性となった。

 藤吉は「稲妻(ランバラルは地球に来てすぐ稲妻を見ている。またヒートロッドは電撃攻撃)」「コブラ(ヒートロッドは蛇のイメージだろう)」「青い機体色」「コーナリングが得意(パイロットとして技量が高い)」ということでランバラルの生まれ変わり、「スピンコブラ」はグフ。Jは「色黒の肌」「今までの機体と一線を画す、新しい遠距離兵器である空気砲(サイコミュ)」「敵陣営から味方陣営に心が動くイベントがある」「緑の機体色」ということで(性別こそ違うが)ララアの生まれ変わり、「プロトセイバー」はエルメス。籐吉の妹は、烈に心引かれるイベントがありまた良家の子女で看護婦っぽいことをする(セイラは医師志望)ということでセイラ、ジュンは、豪に心引かれながら豪の戦いに懐疑的(少なくとも最初は)ということでフラウボウ、と当てはめていける。そう考えれば、なぜブラックセイバーが複数機でコンビネーションアタックをかけてきたかなど、問題なく判って貰えると思う。

 また犬神博士(=ハゲ=デギン)配下の三人衆、「沖田カイ」がガルマ、「近藤ゲン」がドズル(ブロッケンGがビグザムなのは言うまでもないよね?)、「土方レイ」がギレンなのも問題ないことと思う。しかし、実はどうしてもガンダムに当てはめられないメインキャラが一人だけ居る。鷹場リョウだ。トライダガーの性能からして直線に強い(=機体性能が高い)、黒い機体色、野性的な暮らしと性格、弟が居る、などガンダムには当てはまるキャラが全く思い当たらない(サイコガンダムに乗ったククルスドアンとか??)。しかしこの全くイメージできないキャラに対して、星山先生はきちんと責任を取っている。そう、リョウが活躍するシナリオは、全て星山先生が描いた物なのだ!。っていうか、後半は星山先生は、リョウが活躍する話しか書かなくなる。もしレッツ&ゴーを見直す機会があったら(そんな人は居ないと思うが)、是非確認して見てほしい(・・・でもリョウって、浮いてるよね~)。

 後の展開だが、WGPではアムロ、シャア、ランバラル、ララア、ククルスドアン(???)が共闘するという、ガンダムファン的には、ドリームマッチが実現した。国別対抗ということを考えると星山版Gガンダム、五機編成ということを考えると星山版ガンダムWと言えるかもしれない。星山先生は現実には「機動戦士Zガンダム」には参加しなかったが、SFの二作目「ダブルワン」や本作の「WGP」を見れば、もしも星山先生がZガンダムに参加していればこんな話になったのでは、というヒントは沢山得られると思う。っていうか、Zガンダムだって、きちんとハッピーエンドで終わったよね、きっと?。

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コメント

面白い見方ですね。なにか、手塚治虫のキャラクターたちの関係をみているような気がしました。

投稿: harada | 2006.01.21 23:43

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