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戦闘妖精雪風 OPERATION5

まあ、色々と思うところのあったOVA版「戦闘妖精雪風」。
最終巻です。

原作ものの宿命なんでしょうが、「雪風」をこんなにしやがって、という声もしばしば聞かれます。
私自身、そう思う反面、今回は、なかなかやるなぁ、と関心するところもありました。
今回は、一部のストーリーは原作を徹底的に蔑ろにした反面、オリジナルストーリーでのジャムやフェアリィの解釈では、原作を超えたんじゃないか? と思わせるところもあり、なかなかの力作でした。

(以下ネタばれ感想)

まず、文句から書きます。

小説「グッドラック」最大の見せ場であるはずの、不可知領域での雪風の自爆(未遂)シーン。
これが大幅にカット。
OVAでは、いきなり雪風がミサイルをぶっ放し、なんだか良くわからないシーンになってしまいました。

同じように、屋外での茶話会についても、何故それを行ったのか良くわからなくなっています。
また、これが最大の不満なんですが、最後に出撃する零と雪風をエディスが指して「複合生命体」と呟きますが、それまで殆ど伏線が無く(というか非常に解りにくい)、かなり唐突な感じが否めません。

これらは、原作のシーンやキーワードをとりあえず入れてみました、と言う感じで、正直、小説を読んでいなければ、何が何だかわからないでしょう。

また零と雪風の「複合生命体」についても、OVAでは今ひとつ不明です。

原作「戦闘妖精雪風<改>」の頃は、零が雪風に依存しているのに対し、雪風は段々成長を遂げ、次第に零を邪魔に思うようになり、最後は零からの自立を果たします。しかし「グッドラック」では、自らのピンチを零に救われるに至り、「お前は、敵を倒すのに使えるから、コンビを組んでやる」、或いは「ジャムはお前(零)に興味があるから、人質として載せておいてやる」という、ある種ドライな関係を築き、それが互いの命を預ける、まさしく戦友といった関係へ昇華していくまでを描いています。(それをエディスは「愛」と言っていましたが)

OVAは、この箇所の書き込みが薄いように思えます。

OVA版の雪風は、立体映像によるダミー人間を作り出したり、バンシーのコントロールを乗っ取ったり、フィリップナイトシステムをコントロール下に置いたり、終いには全FAF戦闘機の火気管制をハッキングしたりと、凶悪なまでの電子戦能力を持っております。
しかも上記能力は、零の介入は必要ないみたいです。むしろ彼が機体に搭乗することによる機動性の低下の方が問題になるのではないかと思うくらいです。(そのうち、邪魔だとか言って強制排除されないでしょうか?)
しかし、雪風は零の言葉で元気付けられたり、何故か精神的(?)部分では零に依存しているような演出があります。
思い返せば、OVA1巻の頃から、零に対して雪風は小説のようには、冷たくあしらって居ないように見えます。
なんていうか、OVAの雪風の性格が、やや甘ったるく見えるのは、このせいでしょうか?

さて、関心したところ、と言えば、やはりオリジナルのジャム解釈でありストーリーです。
正直、フェアリィそのものがジャムの作り出した幻想であり罠であった、というのは素直に感心しました。
(まあ、フェアリィの自然が人間の関心を引くためであるなら、ジャムが対象にしていたのが、初めから人間だったということになり、設定に矛盾が生じてしまうんですが・・・)
またフェアリーからの撤退戦、および通路の核による破壊、などは、原作を大きく逸脱しているものの、なかなか面白かったです。

まるでマトリックス・レボリューションでも観ているような、わらわらと無数に沸いて出る、ジャムジャムジャム・・・

敵味方入り乱れての最終戦。
そしてその中に、3機の無人機(ナイト)を従え、飛び立つフェアリィ空軍最強の戦闘機「雪風」。

OVAが唯一小説に勝っているところ。
それは映像媒体であることであり、そう言った点では空中戦こそOVA「雪風」の本質であり、それを演出するストーリーや演出は、見事でした。

・・・ただ、苦言を言うなら・・・、なんていうんでしょうね、なんかジャムが俗っぽくなってしまったのが残念ですかね。

思うに、ジャムの正体、目的は人知を遥かに超えた存在として設定されているはずです。
それは知性が足りないから理解できない、というよりも、もう人間の精神構造では認識不能な存在なのだと思います。
きっと原作者である神林長平も、とにかく人間の精神構造では理解が及ばないようなもの、として想像を途中で放棄しているんじゃないでしょうか。
そういったジャムというものを、OVAでは少し定義ています。しかも、どこかで観たような設定を組み合わせることで。
その結果、今回の話で、ほぅ・・・そう来たか、と感心する反面、なんか俗ぽくなったなぁ、と思ってしまうわけですよ。
自分としては、ジャムは、その片鱗でさえも永遠に理解できないもの、として描いて欲しかったです。
まあ、それだと本当に訳の解らない話になっているでしょうが・・・

さて、妖精の国から帰って来る事で、この物語は幕を閉じました。
ブッカーが、現実の世界の畑でブーメランを投げて空を見上げるラストシーンは、なかなかよくできていると思いました。
妖精の国「フェアリィ」に迷い込んで、そして帰還する。
今更ですが考えてみると、「戦闘妖精雪風」というのは、SF版のフェアリーテールだったんですね。
それに気付かせてくれただけでも、OVAは価値があったかも。

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コメント

雪風と零の関係がちょっと違ったのは、ビジュアルでは表現しにくかったのかしらん、と自分をなぐさめ、ひたすらカッコイイ戦闘機バトルに目を向けていましたが・・・。

ブッカーが線細すぎです。もっと骨太なイメージがあったのにぃ。。。

あと、零がフェアリーにきたのって、女性がらみで絶望した、と勝手に想像していたので、マンガ版もがっくりでした。

投稿: uni-yuri | 2005.09.15 21:52

コメント有難うございます。

原作において、零達がFAFにいる理由は、犯罪を犯したからであり、つまりフェアリィは一種の流刑地でした。
言ってしまえば、彼らは世間からの爪弾き者であり、個人的にそのあたりに魅力を感じていたんですが・・・
(マンガ版は未読です^^;)

それにしても、原作で零とコンビを組む桂木少尉が結構好きだったんですが、出てこなかったのは残念です・・・

投稿: 一伽貝 | 2005.09.16 00:00

全巻をわけがわからず見終え、こちらにたどり着きました。小説を読んでいない私には
理解不能で当然の内容だったんですね。何か見損なった話があったのか、最終巻での
飛躍ぶりにびっくりしました。

こちらの解説で、ようやく今までの違和感が解決できました。ありがとうございます。

投稿: | 2009.12.12 01:10

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