« 「無敵超人ザンボット3」(1977年) | トップページ | 「装甲騎兵ボトムズ(改訂版1)」(1983年) »

「戦闘メカザブングル」(1982年)

アニメ脚本家烈伝:<壱の巻>〝ロボットアニメの職人”五武冬史(鈴木良武) その六

 ずっと長浜ロマンロボット路線を書いていた五武先生が、ザンボット3以来実に5年ぶりに富野監督とタッグを組んだ作品。そして富野監督は、この作品以降、ザンボット3部作以来行動を共にしてきた最強脚本家軍団と完全に縁切りになってしまう(正確にはこの20年後、星山博之とは「ターンAガンダム」を共に作ることになるが)。もちろん五武先生も例外ではなく、この作品以降現在に至るまで二人が一緒にアニメを作ることは二度と無かった・・・。原因は、筆者としては憶測するしかないのだが、富野監督はこの時期すでにカリスマと化し他人の意見に一切耳を貸さなかったと言われており、そのことが、これだけの個性派集団との間には相当の軋轢を生じさせずにはおかなかったということではないだろうか。

 作品的には、(少なくとも前半に関しては)五武先生らしく、非常に斬新なコンセプトに満ちた作品となっている。多分富野監督からも、軽いタッチの作品と言う依頼があったのだと思うが、メタ的な要素をふんだんに盛り込んだ痛快作となった(少なくとも、なるはずだった)。元ネタ(五武先生は洋画からコンセプトを持ってきていると思われるケースがけっこうある。ボトムズの第二クールなんて、間違いなく元ネタは「地獄の黙示録」だし)は、恐らく「ワイルド・ワイルド・ウエスト」。SF西部劇と言う、相変わらず未知のジャンルに五武先生は船出していくことになる。このコンセプトはスタッフにせよ視聴者にせよ、きちんとついていけたとは到底言いがたい結果に終わったが、この後20年経って、「トライガン」「グレネイダー」「ガンソード」といったSF西部劇というジャンルの作品が定期的に作られている現状を考えると、やはり五武先生のコンセプトがあまりにも早すぎた(それも数十年)としか言い様が無いのではないだろうか。

 もう一つ、「メタ的」という言葉を使ったが、筆者はあらゆるムーブメントは末期にメタ的なものを生み出し、それに対するシニカルな笑いと共に終焉していくと考えている。90年代末期の中世風ファンタジーブームは、「スレイヤーズ」「魔術師オーフェン」といったメタ的な作品によって幕を閉じていったし、ヲタクムーブメント自体も「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」「げんしけん」のようなメタ的な作品によってどん詰まりに陥っていく。恐らく五武先生は、自らが立ち上げた「リアルロボット」というムーブメントも、このザブングルを持って終焉だと考えたのではないだろうか。だからこそメタ的な笑いを随所に散りばめた作品になったのだと思う。しかし(非常に珍しいことであるが)五武先生のこの思惑は見事に外れることになる。富野監督によるリアルロボット路線は、(アイディア不足と人材欠乏のため)確かに終焉に向かう。この後の富野監督によるリアルロボット系の作品は、ダンバイン(これって・・・本当にリアルだと思う?)をひたすらデッドコピーし直すという最悪の作り方に陥っていく。しかしリアルロボットを作れる監督は、実は富野監督一人ではなかったのだ。この年、五武先生の目をこじ開ける、もう一つのリアルロボットものの代表作が生み出されることになる。その作品の名は・・・「超時空要塞マクロス」!。リアルロボットというジャンルは五武先生の意に反して、まだ死んでいなかったのだ!!

 こうなると五武先生としても黙っているわけにはいかない。リアルロボット物の開祖は自分だと言う自負も有っただろうし、下降線の富野監督を横目で見ながら〝自分の方がリアルロボット物をうまく作れる”という自信もあっただろう。この時期、高橋監督(ゼロテスター監督)の元でリアルロボット物である「太陽の牙ダグラム」を下請けで書いていた五武先生としては、その次回作でガンダム・マクロスを超える、恐らくは五武先生入魂の、五武先生の全てを投入しつくした、最強最高のリアルロボットアニメの製作に取り掛かることになる。その作品の名は・・・「装甲騎兵ボトムズ」!。ついに五武先生による、対ガンダム20年戦争の幕が切って落とされたのだ!!

 最後にザブングルについて少しだけ。第二~四法則に関しては問題ないと思う。今回のバトルフィールドは、「メキシコの岩砂漠(笑)」。第六法則「萌えキャラが描けない」に関しては、ザンボット以来の最強脚本家軍団が穴を埋めてくれた。話が全然盛り上がらなかったのは・・・誰のせいなんだろう?。なんかもう、誰からもやる気が感じられないんだよね、この作品。ただ五武先生は「一話完結型」(ゼロテスターとか)の作品よりも、「大河ドラマ型」(ザンボットとかボルテスとか)の作品を得意にしていたわけなんで、ダイターン3のような作品を目指していたなら、最初から人選を誤っていたという可能性もある。とまあ言うわけで、第一法則(五武先生、斬首モード)が発動。五武先生の路線はあっさり変更されて、いつもの軍隊同士の組織戦になってしまう。でも番組後半なんで、五武先生も富野監督と手を切る決意を固めていただろうし、もはやどうでも良かったかも。頭の中は、すでにボトムズの構想でいっぱいになっていたかな(笑)

|

« 「無敵超人ザンボット3」(1977年) | トップページ | 「装甲騎兵ボトムズ(改訂版1)」(1983年) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

SF西部劇アニメは初か、というとそうかもとも思うけど定かではなし。

ザブングルの世界ではロボットメカ(ウォーカーマシン )はとても日常的な自動車みたいな感じで、かつなんとなくラテン的なお気楽なのり(スレイヤーズも)でしたね。モビルスーツも作業用のもあるんだけど、作品内雰囲気的にはかなり違っていた気が。これもまあメタな一部なのでしょうか。

楽しく見てましたけど、痛快作としてヒットしたような気もするのだけど・・・まあ確かにガンダムほどの知名度はないですね。

投稿: harada | 2005.09.01 22:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26541/5563985

この記事へのトラックバック一覧です: 「戦闘メカザブングル」(1982年):

« 「無敵超人ザンボット3」(1977年) | トップページ | 「装甲騎兵ボトムズ(改訂版1)」(1983年) »