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My最新アニメ感想文増刊号(完全ネタバレ):「ルパン三世・天使の策略」

 たまにはタイムリーに(笑)。脚本は「テニプリ」でブレイク中(?)の前川淳。何を考えて採用したのか、とても判りやすくて微笑ましいです(笑)。

 今までず~っと脚本を書いていた柏原寛司が嫌いだったんで、とりあえず見てみました。ただ前川淳はにしても、あんまり好きな作品は無いんだよね~。

http://www1.c3-net.ne.jp/atsu-m/

 ホームページで確認しても、原作付きがほとんどで、真に実力が試されるオリジナル作品はほとんど書いてないし。「ヴァニーナイツ」くらいかな、オリジナル作品で好きなのは。でも「ヴァニーナイツ」にしても観念的な話で、一般受けする話じゃないしなあ。しかもシリーズ構成はほとんどやってなくて、下請けばっかりだし。でもまあ先入観を持ってみるのは良くないしね。本人もホームページで、ルパン三世を青服だの赤服だのという話をしており、ルパンに対して相当思い入れがあるみたいだし。

 元々この夏のスペシャルで放映しているシリーズは、最初の劇場版「ルパン三世vsコピー人間」(というタイトルに改悪されちゃいました(泣)。監督脚本は吉川惣司。以下<劇>と表記)のシノプシスをベースに作られており、必然性や辻褄よりもアクションを串団子状につなげるという構成になっています。とはいえここまで<劇>に敬意を払った(ぱくりって言っちゃいけないんだよね?)作品も、ちょっと記憶に無いですね。その意味では、原点回帰を狙ったのか?。ちょっと懐かしくて嬉しかったんだけど、・・・これを見るなら<劇>を見直したほうがもっと楽しかったようなような気がするのは、ないしょです。

 実際に見てみると、冒頭から見たことのあるシーンが目白押し(決してデジャブではありません(笑))。いきなり美女軍団にぶち殺されるルパン一家(<劇>では縛り首にされるルパンからスタート)、盗みのためにエリア51に進入するも見つかって五右衛門の斬鉄剣頼みで脱出(<劇>では、賢者の石奪取のためのピラミッドから脱出)、特殊合金の玉を斬鉄剣で切ることができず修行に出る五右衛門(<劇>では特殊合金性防弾チョッキ)、富士子が原因でルパンに愛想を尽かしてルパンと別れる次元(<劇>でもそのまんま)、盗んできた物を渡す代わりに富士子に廃屋でベッドインを迫るルパン(<劇>でもそのまんま)、金的蹴りでルパンを気絶させて危機を回避する富士子(<劇>では睡眠薬を使用。ただこれだとブラッディエンジェルの薬物使いとキャラが被るか)、動きを全てブラッディエンジェルにモニターされているルパン一家(<劇>ではアメリカ軍にモニターされる)。後半ではピラミッドのトラップを滑り落ちるルパン(<劇>でもそのまんま)、ルパンと銭形が手錠で繋がれ二人三脚で美女軍団から逃げ回る(<劇>ではアメリカ軍のミサイル攻撃から逃げ回る)、五右衛門の「また、つまらぬ物を切っておいた」という台詞(これは五右衛門の「また、つまらぬものを切ってしまった」という決め台詞を捻った(つもり)のものですが、初出が<劇>の下水道で戦闘ヘリを切るシーンだということを意識しているのは、・・・多分吉川信者の僕くらいのもんなんだろうなあ)、海草を頭に載せて海から出てくる銭形(<劇>でもそのまんま)、などなど。

 ホームページを見ると、評価は最悪のようですが、実際見終わっても面白かったという印象はほとんど残りません。僕は最大の問題点は、美女軍団のキャラが全く立っていなかったことだと思います。元々前川淳はオリジナル作品のシリーズ構成をほとんどしたことが無い様なので(実力が無いから回ってこないのか、書かないから実力がつかないのか)、キャラの立て方が良く分かってないんじゃないでしょうか。恐らく「テニプリ」が当たった経験から、「テニプリ」の美少年を美女に置き換えればキャラ萌えファンが何とかしてくれるという読みがあったんだと思うんですが、ターゲットとして腐女子とルパンを見るような一般ファンを同一線上に置こうというのが無茶なんであって、普通の作品同様にキャラクターのバックグラウンドの書き込みは必須だったと思います。ブラッディエンジェルの5人組が、殺されて当然の残虐漢として書かれた時点で、物語の厚みは無くなったも同然です。一人だけ〝父親が米軍の爆撃で殺された”とか奇麗事を言ってる奴がいたけど、一般人を殺しまくっていることの言い訳には、全くなっていませんね!。過去の舞踏会でビックリ箱を貰ったエピソードも意味不明だし。こうなるとブラッディエンジェルが美女5人組で本当に良かったのかという、根源的な問題にまで立ち返ってしまいますが、まあ「テニプリ」が前提である以上、ここを変更する選択肢は無かったんでしょうね。・・・もう少しブラッディエンジェルに、感情移入する余地があればかなり印象が違ったんだろうと思うんですが。

 内容も少しだけ。オープニングテーマが流れる中、ルパンの逃走シーンでエミリーが「適当に押しちゃえ!」と言ってボタンを押した時点でオチまで見えちゃうのはあんまり。これじゃ本編が一秒も必要ないよ~。またそもそも怪盗であるルパン一家が、オリジナルメタルを「売って」利益を上げようとか言っている時点で、キャラ掴み損なっているとしか言い様がありません(オチで「売る気は無かった」なんていうのは遅すぎです。っていうか、水道の蛇口にオリジナルメタルつけちゃったら、水が出なくなるだろっ!)。作中ではUFOのことを、米軍が作った偽物と言った時点で無価値みたいな扱いをしているけど、あの飛び方を見る限り、物凄いスーパーテクノロジーの産物なのではないだろうか。はっきりいって香水かけて加工できるような金属球なんかより、よっぽど凄そうに見えるんですが。でもなんでUFOの欠片じゃいけなかったんだろう?。よっぽど「お宝返却大作戦」が評判が悪かったんだろうか(確かにひどい話だったけど)。でもこんなこと、枝葉末節だよね。だってここに書いたことを全て直したとしても、”普通の作品”になるだけで、〝すげえ面白い作品”になる気は全然しないし。来年こそは、吉川惣司先生に復活してほしいなあ。・・・無理だと思うけど

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コメント

そうか、吉川先生の作品だったんだ。記憶と照らしても納得です。マモー、渋かったしね。

やっぱり背景設定は大事ですよね。それをきちんと表現する力もまた大事なんだけど(全然足らんなあ>私)。

投稿: harada | 2005.07.24 01:07

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