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「忘却の旋律」(第十八・十九・二十話)感想文(ネタばれ注意!!)

 「東京駅編」開幕。出ました!!、恐らくは榎戸先生が、本作品を通して最も書きたかったのではないかと私が想像する話です。このパートだけのためにでも、「忘却の旋律」という作品の存在理由は、十分あったと確信します。

 本編が理想化された安保闘争だとすると、場所が完全に特定できるこの話は、まさしく現実の安保闘争との接点と言えるでしょう。三話を通して表現される、奇怪な仮面を被って電車に乗る人々は、本作を象徴する絵ではないでしょうか。

<十八話>
 東京駅のすぐ側でテントで野宿するボッカ達が、とにかく強烈。金もなく理想に生きると言うことが、どんな問題をはらんでいるのか、端的に表現している絵です。大馬鹿ファンタジーで、「俺は冒険者だ!」などと戯言を言いながら、なんの苦労も無さそうな血色の良い顔で(以下略)。東京駅のすぐ側で、あのファンジックな衣装で普通のサラリーマンと一緒にいる絵は、物凄くシュールで素敵です。とにかく名シーンの連続で、これぞ榎戸ワールド全開という感じが最高です!!。「指名手配されていた密輸業者」という男から「まほろばを探せ」というメッセージを受け取るわけですが、これは本編における初めての「押し」なわけで、やっと話が進み始めましたね。この密輸業者の男も、単なる犯罪者ではなく思想犯であり、別件逮捕とかで捕まっている可能性が大です。まさしく安保闘争の雰囲気が漂います(笑)。支援組織という言葉の胡散臭さもいいですね。ボッカのテントの中も初公開。・・・男女二人きりで、色々大変でしょうね(このことは何度となく触れていますが)。女探偵さんが小夜子にする説教も結構強烈。現実世界のキャラが、ファンタジー世界のキャラを諭しているような言い回しは、正直、かなりダウナーな気持ちにさせてくれます。しかも最後にお金まで渡してくれるし、頭上がんないっす(泣)。蛍光灯に「電気羊」という名前を付ける当り、流石はディックファンの榎戸先生。ダムダの意味は、実は良く分からないんですが・・・。少年(まあエージェントなんだけど)との哲学っぽい会話は、榎戸先生の真骨頂。猛烈な量の情報を含んでいながら、何が本当で何がダミーか見せないと言う手法は、エヴァ以降、何度も使われてきました。「メロスの戦士は、みんなここに来て駄目になる」という台詞は、田舎から理想に燃えて東京の大学ににやってきた学生が、都会の誘惑の中で次第に理想を失っていく様を言っているのでしょうか(いきなり、遠音は駄目になっているし(笑))。(山手線で)回る、という行為は、理想を失って日常に飲み込まれていく様を象徴しているように思います。っと気がつけば、いきなり総理大臣を誘拐!。これで本当の(まあ最初からと言われればその通りなんだけど・・・)テロリストの仲間入りさ!。主人公一派が総理大臣誘拐は、けっこう珍しいケースなのでは?。安保闘争でも、ここまでやって欲しかったということなんだろうなあ(ボッカと小夜子は、むしろ現実にいたダメ~な革命戦士の内幕として描かれているような気が・・・)。

 細かいところを。東京駅のステーションギャラリーに飾ってもらえるとは、鼠講谷に出てきた画家さんは、けっこう売れっ子になったんですね。ヌードまで描いちゃったりして、遠音さんとは結構上手くいっているようですね。何よりでした(笑)。

<十九話>
 誘拐してきた総理大臣との交渉から始まるこの話。総理をステレオタイプの悪役には描かず、現実を良くしようとしているある程度の善人として描いているところにリアリティを感じます。こんな総理が居てくれれば、という願望も込めているのでしょうか。「モンスターの存在なしに、どうやってこの国の平和を維持できると思っているのかね」という台詞は、明らかにアメリカを意識していると思うんだけどなあ。過去のメロスの戦士とモンスターキングの会話も、榎戸節全開。ウテナで繰り返し使われた手法ですが、舞台劇の表現を使って、20世紀戦争のネタばらしをしているように見せて、実は謎を増やしているだけというのは、もはや常套手段ですね。過去のメロスの戦士の必殺技も「フラッシュ」。もしかしたら、ワンペアが一番強い序列なんだろうか(いやむしろモンスターキングが「ソロ」なんだから、ブタが一番強いのでは??)。エレクトリックシープは・・・元ネタは必要ないですよね?(むしろ最初から狙ってましたって感じ)。チャイルドドラゴンが名づけたコドモオオトカゲはコモドオオトカゲの駄洒落で・・・なんていうのは、説明する方が恥ずかしいですね(泣)。「我々は奴ら(モンスター→アメリカ)に飼われて生きてるんだ」という総理の言葉は、おそらく榎戸先生の実感なんではないでしょうか。

 細かいところを。総理がココの父親だ、なんてのはどうでもいいですね。

<二十話>
 「まほろば」の語源は、松本零士先生の、超時空戦艦まほろばと断言してしまってもいいのでは?。キャプテンハーロックも出てるし(笑)。ココを使って総理から情報を引き出すとは、ボッカも大分大人になってきたようで。安保闘士ならこのくらい出来て当然?。仮面の男が持っているのはリンゴ。前パートで忘却の旋律が持っていたのもリンゴ。リンゴを食べた仮面の男(実は画家さん)が知識を持っている、というのはアダムとイブの逸話から来てるのかな。ボッカの「帰ってきたら、結婚しようか?」は、榎戸作品的には超重要台詞。だって過去の全ての榎戸作品で、主人公とヒロインが結ばれて幸せになったケースは絶無だから。ある意味本作の最重要ポイントです。今回のロボット怪獣は・・・平成ゴジラのスーパーⅹ当りかなあ(この防御力は、エヴァのラミエル様か?)。ガイナックスは特撮マニアが揃っているので、その辺に気を使ったのかもしんない。え~、時子さんって、黒船の奥さんだったんだ。でもこの当りも読みきってて当然かな、また連敗記録更新っと。小夜子の腕の鎖は、いつの間にか黒船ではなく、ボッカに反応するようになっていました。理由は・・・恥ずかしく書けません(泣)。まほろばのロケット噴射で、東京の人はどのくらい死んだかなあ。革命には犠牲はつきものだと、割り切っているのでしょうか。こういう所も安保闘争っぽいなあ。

 細かいところを。ボッカ達の旅立ちのシーンを、あることないことオウムが見ています。少なくともソロは、ボッカ達の動きを全て知っていたということでしょうね。

ではまた明日。

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