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My最新読書感想文:「姑獲鳥の夏」(超ネタバレ注意!!!!)

<京極夏彦:1994年:講談社>
 祝映画化決定。といっても私は、京極は「どすこい」一冊しか読んだことが無いので、あんまり関係ないんですが(笑)。

 読んでいる最中はあんまり面白いとか思って読んでなかったんだけど、これを電車の中で読んでたら一日に3回も駅を乗り過ごしてしまったので(新記録)、相当な集中力で読んでいたんだと思います。つまり面白かったんですね(素直に言えよ)。

 さて私が思うに、ミステリーの4種に神器と言えば「双子(そっくりさんを含む)」「記憶喪失(一時的なものも含む)」「多重人格」「催眠術(薬物も含む)」で、これを組み合わせてしまえば実質不可能な犯罪など、何も無くなってしまいます。本作にはこれらのタームが、全て、しかも何回も登場します。私もけっこういいとこまでいったんですが、二重人格と三重人格を読み損ねたのと、3人の人間が同時に心理的抑圧によって実際にあるものが見えなくなると言う猛烈な展開は、流石に読みきれませんでした。まあ犯人は誰でも最初から分かっちゃうんだけどさ。

 個人的には、京極堂の謎解きは相当いかさま臭いと思います。証拠も根拠も無いのにまるで見てきたかのように謎解きしまくる様は、まるで推理クイズの解答欄のようです。むしろ京極堂がどうしてそうした結論にたどり着けたかの方が、よっぽど不思議です。なんか妄想を話しまくったら、奇跡が起きてそれが正解だったと言う感じ・・・。競演している探偵の榎木津に至っては、相談者の過去が見えてしまうという、清涼院流水のJDSの所属探偵かと思えるほどのいかさま臭さ。新本格ミステリーというのは、こんなのばっかりなんでしょうか。

 話がずれました。私がこの話を読み終わった後の第一印象は、京極堂の推理は本当に正解だったのか、と言うことでした。京極堂の推理は断片的な事実に対して必要条件は満たしていても十分条件は満たしていません。事実に対して矛盾はしていないものの、この推理が絶対に正しいと言う保障は、欠片もないのです。つまり京極堂は、自分勝手な誤った推理を自慢げにしゃべりまくったあげく、可愛そうな被害者一家を完全に崩壊させてしまった可能性も捨てきれないということです。この小説の主人公は本物の卑劣漢で、親友からラブレターを15歳の女の子に渡してくれるように頼まれたたら、渡すついでに強姦して丸一月自己憐彬に浸った挙句、記憶喪失になったと称して全部無かったことにしてしまったという、鬼畜のような奴です。本人は心神喪失と言い訳していますが、それで済むなら覚醒剤常用者の犯罪は全て無罪になるはずですし、百歩譲っても精神病院に長期入院させるのは当然ではないでしょうか。まあラブレターの件は、こんな奴に託した方も人間を見る目が無さ過ぎたということで仕方ない面もあるのですが、こんなのと20年も親友をやっている京極堂も、本当に信頼できる人間なのでしょうか。むしろ主人公の強姦事件その他を無かったことにするために事実を歪めていても、全く不思議は無いと思います。こんなことを考えるのは私だけなのかなあ。でも死んだ親友に、(ほぼ主人公が一人称で書かれた文章であるにも関わらず)地の文ですらわびようとしないこの主人公は、救うに足る人物だとは本気で思えません。なんか納得行かないなあ・・・

では、またいつかそのうちに。

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コメント

>>清涼院流水のJDSの所属探偵かと
JDCでしょ・・・

面白かったようで何よりでした。

それと、京極堂は関口の事を親友だとは決して云いませんね。

投稿: せんだい | 2004.11.06 00:16

>二重人格と三重人格を読み損ねたのと、3人の人間が
>同時に心理的抑圧によって実際にあるものが見えなくなる

ミステリは読まないんですが、聞いただけで確かに卒倒しそうな面白さかも。

>事実に対して矛盾はしていないものの、この推理が絶対>に正しいと言う保障は、欠片もないのです。

自然科学の標準理論といっしょですね。できるだけシンプルな説明で、というのも入りますが。

投稿: harada | 2004.11.06 02:18

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