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My最新特撮感想文:「特捜戦隊デカレンジャー」

<放映中:2004年製作:テレビ朝日>
 以前私が「デカレンジャーはスーパー戦隊シリーズ最高傑作だ」といったら、hiraku氏に「宇宙刑事ギャバンとどこが違うの?」と言われてあんまりまじめに取り合わなかったんで(笑)、今回は少しだけ、<<簡単に>>述べてみたいと思います。

 一言で違いを言ってしまうと、ギャバンは「仮面ライダー型」の作品で、デカレンジャーは「ジェットマン型」の作品だということになります。これでは何のことか全然分かりませんね?。「仮面ライダー型」の作品は、主に昭和40~60年代に全盛期を迎えた、いわば特撮の第二世代型とも言えるフォーマットで、主に伊上勝や上原正三らによって創設されました。基本的には世界征服を企む悪の巨大組織(陰謀史観)、俺にしかやつらを倒すことはできない(誇大妄想)、誰にも知られてはいけない俺はなんてかわいそうな奴なんだ(被害妄想)、を三本の柱としており、視聴者(特に年少者)の感性にダイレクトに訴える説得力は半端ではなく、この時期「仮面ライダー型」以外の等身大特撮のフォーマットはほぼ完全に駆逐されてしまいました。しかし「仮面ライダー型」は、設立の当初から幾つかの致命的な問題点を抱えていました。まず主人公が社会的にいうところの、いわゆる“異常者”である必要があること。恋愛も蓄財も一般的な社会生活すらも不可能な主人公では、一般のドラマ的なストーリー展開は行うことができず、そのため普通の俳優さんからはかなり嫌われました。次に内容が非常に陳腐化しやすいこと。世界征服を企む巨大組織の企む陰謀が、ヒーローという一個人に容易く「全て」「発見され」「阻止される」というのは、常識的に考えて非常に困難であるのは明白です。にも関わらずこうしたストーリー展開にリアリティを与え続けるのは、それこそ至難の技です。だからこの時期の特撮脚本家は、それこそ10人にも満たない精鋭揃いで、彼らのがんばりによってこの「仮面ライダー型」はなんとか維持されてきました。それでもシリーズが長期化し、作品数が増えるにつれてほころびが出てくるのは致し方ないことで、子供だましの展開や、ギャグでお茶を濁すというようにどんどん話が陳腐化してくのは、「仮面ライダー型」の、いわば当然の帰結とも言えます。上原正三がギャバンを書いた昭和50年代は、この「仮面ライダー型」のいわば再生産期で様々な工夫がされてはいましたが、シリーズ3作目の「宇宙刑事シャイダー」あたりは相当力尽きていた印象がありますね(笑)。

 さてこの袋小路のような流れが一変するのは、90年代に井上俊樹や荒川念久が、いわば第三世代型とも言うべき「超人戦隊ジェットマン」「超光戦士シャンゼリオン」を作った前後からです。彼らは等身大特撮から「仮面ライダー型」の、いわば神経症的な部分を取り除き、「敵は小さな組織でも個人でもかまわない」「ヒーローの正体を知られても全然かまわない」「普通に社会生活が営める(いわゆる普通のドラマにおける)正常人が主人公でOK」ということを、意図的に始めました。このため、いわゆる「俺でなくちゃ」という「のめりこみ度」は激減しましたが、一般のドラマに近いストーリー展開が可能になったので、ストーリーで視聴者を惹きつけるとことが可能になりました。また要は普通のドラマになったので、質の良い(いわゆるイケ面)新人俳優が大挙して出演してくれるようになったので、そっちの面でも視聴者が増えました。その結果、現在は「ジェットマン型」が「仮面ライダー型」をほぼ完全に駆逐する結果となりました。デカレンジャーを作った荒川念久は、ジェットマンのメインライターの一人であり、「ジェットマン型」の長所も短所も知り尽くしています。荒川念久は、「ジェットマン型」が大ブレイクするきっかけとなった、「仮面ライダークウガ」(仮面ライダーシリーズを「ジェットマン型」で作ってしまうというのは、感無量だったでしょうね)のメインライターであり、「仮面ライダーアギト」を作った井上俊樹と共に、今や特撮界の牽引役になりました。特撮アニメヲタクの荒川念久の人となりや、伊上勝と井上俊樹の関係については、またいつか。

 さてこれでデカレンジャーの話はおしまいです。え?全然デカレンジャーに触れてないだろって?。ま、いいんじゃない?。荒川念久は前作「爆竜戦隊アバレンジャー」の続いて2年連続してスーパー戦隊シリーズのメインライターを務めることになりました。アバレンジャーはかなりパロディやメタ色の強い内容で、赤青黄黒白の5人が揃ったのがたった1話だけという強烈な内容でしたが、デカレンジャーはきれいに力の抜けた内容になっており(荒川念久は力が入ってしまうと「課長王子」のようなコメントし辛いものを作ってしまう・・・)、嬉々として梅子のお風呂シーン(安彦良和のロボっ子ビートンのネンネンがオリジナルと見た!)とか書いているのを見ると、ついに「ジェットマン型」も安定期に入ったんだな、という印象を強く持ちました。つまりこれが初めてのスーパー戦隊シリーズの「完成形」であり、今後このデカレンジャーが礎となって、次回作以降が作られていくのではないかと考えます。

ではまた明日。

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コメント

特撮の脚本は

仮面ライダー型
「世界征服を企む悪の巨大組織(陰謀史観)」
「俺にしかやつらを倒すことはできない(誇大妄想)」
「誰にも知られてはいけない俺はなんてかわいそうな奴なんだ(被害妄想)」

ジェットマン型
「敵は小さな組織でも個人でもかまわない」
「ヒーローの正体を知られても全然かまわない」
「普通に社会生活が営める(いわゆる普通のドラマにおける)正常人が主人公でOK」

まとめていただいてありがとうございました。よくわかりました。

ジェットマン型のほうが仮面ライダー型よりも優れているので駆逐したと書いてますがそれには納得できません。
一般のドラマを書くかどうかは子供が少なくなって視聴率が減った。
視聴率が稼げない=打ち切り=失業。
視聴率を稼ぐためには大人にも見てもらう必要がある。
大人が見ているドラマと同じ様な構成にする。
復讐や闘争ではなく恋愛や人間関係を書く。
少子化が原因でそれに対する対策が普通のドラマなのではないでしょうか?
2人の天才が特撮TVシリーズに普通のドラマを追加してそれが成功したというのは脚本家を軸に見ているからそう見えるだけなのではないでしょうか。

仮面ライダーよりも前の白黒TV時代の特撮は大人向けの冒険活劇の構図だったわけだし。

特撮TVシリーズの最終回で視聴率40%とか取れるわけじゃないし。
夕方7~9時台に枠が取れるわけでもないので子供相手というニッチからいまだに抜け出せているとは思えないんですが・・・

投稿: hiraku | 2004.10.05 13:56

ご無沙汰しております。

>ジェットマン型のほうが仮面ライダー型よりも優れているので駆逐したと書いてますがそれには納得できません。

仮面ライダー型が劣っている、と言う趣旨のことは書いていない思います。ジェットマン型の方が、より現代のトレンドにマッチしているから、という書き方をした方がより分かりやすかったでしょうか。仮面ライダー型はリアリティを保つことの困難さから、少数の優秀な脚本家によってのみ支えられてきました。しかし彼らが年齢的にもきつくなってきたこともあって、90年代前半は、仮面ライダー型等身大特撮ドラマはスーパー戦隊シリーズを除いて、ほぼ絶滅の状態にありました。この状態は現在も変わっていません。つまり仮面ライダー型は増えても減ってもおらず、単にジェットマン型が増えた、というのがより適切な表現かもしれません。

>少子化が原因でそれに対する対策が普通のドラマなのではないでしょうか?

そこがジェットマン型が仮面ライダー型に勝る長所の一つだということです。ただ幼児向けのアニメに関して言えば、仮面ライダー型の亜流のコンセプトの作品は今でも山ほど存在しています。しかしそれが等身大特撮に進出できない理由は、やはり仮面ライダー型の構造的な問題点がジェットマン型の長所を超えられないからではないかと思います。

>仮面ライダーよりも前の白黒TV時代の特撮は大人向けの冒険活劇の構図だったわけだし。

仮面ライダーも最初は大人向けのホラードラマでした。それが色々方向性を探っていたら子供に受けたので、子供向けのフォーマットとして確立していったのです。従って可能ならば、仮面ライダー型でもう一度大人向けの冒険活劇を作ることも可能ではあるんですよ。やる人がいればですが。

>夕方7~9時台に枠が取れるわけでもないので子供相手というニッチからいまだに抜け出せているとは思えないんですが・・・

別に本論は、一般ドラマに対する「ジェットマン型」の優位性を述べたものではないので。それとも仮面ライダー型ならゴールデンタイムの枠が取れるはずだ、ということを言いたいのでしょうか。私はかなり難しいのではないかと思うんですが。

ということで。

投稿: 少年王3号 | 2004.10.06 01:36

納得しました。

「仮面ライダー型」と「ジェットマン型」の比較だけを行っているのにhirakuは一般ドラマやStarWars, MATRIXのような海外特撮にも「ジェットマン型」が優位であると書いてあると誤解してしまいました。

投稿: hiraku | 2004.10.06 13:29

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