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ウルトラQ dark fantasy 虚無の扉

さて「ウルトラQ dark fantasy」第二十六話「虚無の扉」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

 面白かった。
 やっと「ウルトラQ」のリメイクを見れたなぁ、というのが正直な感想である。
 しかも出てきたのは身長200~300Mはあろうかという、巨大な怪人。
 もうなんていうのか、色んな意味で大盤振る舞い?
 そして(話はともかく)どことなくレトロな映像のつくり。
 「カネゴンヌ」ほどには徹底していないものの、制作者の拘りを見た気がした。

 さて、今回の話は旧作「2020からの兆戦」のリメイクであるといえる。
 デザインもさることながら巨大化した怪人が東京タワーから発せられる電波に倒されて液体になってしまうところまでそっくりだ。

 旧作は2020年の地球に住む突然変異体、ケムール人が1960年代に若い肉体を求めてタイムトラベルでやってくるという話である(このあたりの設定はラジオドラマ「ウルトラQ倶楽部」で少し明かされる)。

 今回は電磁波になって宇宙を彷徨うレキューム人が、彼らが失った想像力を求めて、地球にやってくるという話である。
 因みに劇中「レキューム」とは人間の脳内で発生するイオンガスのことで、これが想像力の源になっているということらしい。「レキューム」なるものが本当に存在しているものかどうかは、不明。

 しかし、劇中さんざん云われている想像力(創造力?)とは何だろう。
 これだけでは漠然としていて意味が判りかねる。
 見ていると、劇中は以下の二つのことを指しているように見える。

 一つには、これがあると平和になる云々と言っている所から、一種の感受性のような意味合いで使われている。
 要は他人の痛みを知りなさい、というか、想像しなさい、ということだな。
 相手の痛みが判れば、とても暴力などふるえない。だから平和になるというロジックなのだろう。

 もう一つの意味合いとして、未来に対する希望、とか困難に立ち向かう問題解決能力を指しているようにも取れる。
 こちらは漫画家やミュージシャンの創作力もこちらに含まれる。
 つまりは創造性に関わるものだな。
 劇中ではどちらかというと、こちらの意味合いで使われていたようだ。

 どちらの意味合いにしても、目の前に見えず、触れないモノについて考える能力である。
 確かに人間は他の動物と違い、この能力に優れている。
 この能力をなくして、現在の文明社会はない。

 さて少々考察を要するのに、なんで漫画家・笹山が描いた漫画に書かれているとおりに事態が経過していくのだろう。
 恐らく、坂本剛を主役にしたと思われる漫画(の下書き)が(多少の差異はあるものの)現実化している。笹山には予知能力でもあったのだろうか?
 レキューム人は自分が倒される未来を、渡来博士に知られたくないから、彼を拉致したり、坂本に警告を与えたのではないか?
 いや、それならば、彼を殺してしまったほうが早い。
 何故、レキューム人は笹山を生かしたまま、しかし、外部に秘密が漏れないように腐心し続けなくてはならなかったのだろうか。

 ここで思い出してもらいたいのは「ウルトラQ dark fantasy」のここ数話について、思念が現実化する話が続いていることだ。

 「右365度の世界」「ヒトガタ」「闇」の3話については、心に思ったことが現実化したり、現実に作用したり、とそんな話がバックボーンとしてある。

 これら3話の設定を強引に纏めてみると、この世界は不定形であり、人々の強力な思念(思い込み)で世界は形成されているのだ、という考えである。思い込みが強烈であるとか、大勢の人間が信じているものが現実となりやすい。

この考えを推し進めると、例えば漫画に自分の世界観や物語を描き、それが広く読まれたとする。そして、漫画に描かれた事をそれを信じる者が増えていくと、それは現実化するのではないか
 或いは、個人だけでも強烈な思い込みがあれば、それは現実化するのではないか。

 そう考えると、この「ウルトラQ dark fantasy」の世界において、創造者(クリエーター)こそが世界や未来を作り出しているということである。
 つまり今作のキーワードである 「想像力」とは、個人の思考通りに現実や未来を創り出す能力のことではないだろうか。

 そう考えると、いろいろと合点が行く。

 何故、想像力を失ったレキューム人がこの世界に実体を持てなくなったのか。

 何故、漫画の通りに現実が進行していくのか。

 恐らく彼らは自分で物事を決定できないのだ。漫画家・笹山が彼らを想像して始めて彼らは現実の肉体を得、そして侵略を開始できた。そして、レキューム人が笹山の創作をコントロールして、彼らが望む未来を得ようとした。他人の褌で相撲をしていたのだな。

 しかしここで疑問に思うのが、想像力を失った彼らレキューム人に主体性などあるのだろうか

 もっと穿った見方をするなら、実はあれは全て笹山の創作なのではないのか?

 本来、平和に電波状態で宇宙をさまよっていたレキューム人は、笹山に想像されることによって、都合良く侵略者に仕立て上げられ(それも昔現れたケムール人の姿を与えられ)そして最期をむかえたのではないか?
 作者である篠山自身もピンチになるが、これもドラマツルギーとしては必須だから起きたのではないか?
 そしてあの巨大化したレキューム人も、レキューム人を倒すときに「第二東京タワー」をへし折ったのも、怪獣映画好きであった(?)笹山の趣味ではなかったのか。

 ということは、実は本当の被害者はレキューム人ではないのか?

 自分の漫画の為に罪もなかった宇宙人を殺すとは、しかもその為に「第二東京タワー」をも倒すとは、漫画家とは恐ろしき職業である。

 さて、半年続いたこの連載も、番組の終了と共に今回で最終回。
 現代に甦ったウルトラQを考察し、隠された内容や設定を読み取る、というなんか壮大な目的で書き始めましたが、やっぱりちょっと辛かったですね。特に最後の方は。

 長らくこんな駄文、妄想記事につきあって頂き、本当に有難うございます。

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コメント

すいませーん
第二東京タワー666mとほぼ同じ位の身長ありましたヨ

投稿: バーベQ | 2004.10.09 15:39

コメント有難うございます。

>第二東京タワー666mとほぼ同じ位の身長ありましたヨ

ええと、画面を見る限りでは、ちょうど半分に折れた第二東京タワーくらいの身長だと思ったんですが・・・

投稿: 一伽貝 | 2004.10.10 00:06

いつも楽しく、興味深く読ませて頂きました。
最近は本編よりも、一伽貝さんの文章の方が
楽しみでした。

ありがとうございました。

投稿: sova | 2004.10.10 21:40

sova様、コメント有難うございます

だれも「ウルトラQ」の感想など書かないだろうと思い、ニッチを狙って始めた連載とはいえ、反応があまりにもないので、ちょっとしょげていました。

ご愛読、有難うございました。

投稿: 一伽貝 | 2004.10.11 00:10

一伽貝さん、サーチエンジンでたまたま前回担当作『密やかな終幕』の解析文に辿り着き、楽しく読ませていただきました。
また今回の『虚無の扉』に関しても非常に独特な解析をしていただき、とても興味深かったので、書き込みさせてもらいます。
作品の断片から(例え製作者が想像すらしなかった)世界の拡がりを
読み解くゲームは、「ウルトラQ」という作品を楽しむ有効な手段です。勿論、ある水準が要求されることはいうまでもありません。
一伽貝の文は、読み手を楽しませながらこの世界の拡がりをきちっと説明できている点で、とても高いレベルを維持されていたと思いました。テレビ放映のため、表層的に通過されてしまうのは仕方ないことと思っていましたが、注意深く作品を観ていただけて感謝いたします。ご苦労さまでした。

投稿: 高橋 | 2004.10.14 02:53

コメント有難うございます・・・

・・・って、まさか高橋巌監督でいらっしゃいますか?

ひぇぇ~
恐縮です。

まさか、作り手の方からコメント頂くとは。
好き勝手なことを散々書き散らかしておいて、今更ながら稚拙な文章や解説に、冷や汗が出る思いです。

こんな場末の記事を見ていただき、しかもコメントまでして頂けるとは、もの凄く嬉しいです。
本当に半年間書き続けた甲斐がありました。

ウルトラQという、素敵な作品を作成されたスタッフの皆様に敬意と感謝を申し上げます。

そして、またすばらしい作品を見せて下さい。

投稿: 一伽貝 | 2004.10.16 02:59

申し訳ないです、公式には何メートルなんでしょうネ。。
公式の方、まだまだBBSやってます。壁紙もありますよ
(客引きだったりして。。。)

投稿: バーベQ | 2004.10.16 17:46

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