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ウルトラQ dark fantasy 闇

さて「ウルトラQ dark fantasy」第二十五話「闇」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

 今回も難しい話であった。
 ちょっと時間が足りなくて散文めいたものを羅列するが、許されたい。

 「闇」とはなんだろう。
 一つには、純粋な意味での「闇」。光が射さない箇所。影だ。
 また一つには、魑魅魍魎の住まい。人知の及ばぬ箇所。
 そしてもう一つは、人の心の暗部。嫉妬や憎悪といった負の感情というものだ。

 今回はそれらの「闇」を描いた作品である。

 さて、今回の話は難解である。

 整理をするつもりで、今回の話を振り返ってみよう。

  謎の殺人現場のあった廃墟で生中継をすべく撮影準備に追われるTVクルー

   昼間
    Ⅰ.廃屋でリハーサル中に、矢島祐子が倒れる。
    Ⅱ.電源系のトラブル発生
    Ⅲ.アナウンサー後藤美姫、到着
    Ⅳ.電源治るも、回線トラブル。すぐに復旧。

   夜
    Ⅴ.待機中にアナウンサー後藤、幽霊を見る

   本番直前
    Ⅵ.ケーブルさばきのヤスが行方不明。探索をする。
    Ⅶ.アナウンサー後藤が幽霊を見たことを告白。直後、天井が崩れて、放送が中止に。
    Ⅷ.プロデューサー仙童、幽霊に殺傷される

 なんともトラブル続きの撮影である。この館はやはり呪われているのだろうか。
 あるいはディレクター酒井が言うように、仙童はこれらの事件が起きるように何か仕組んだのだろうか?
 確かにⅡやⅥについては、仕込みである可能性はある。
 しかし、後の仙童の態度を見る限り、これは本当に仕込みなどしていないのだろう。
 ただ、酒井の云う「プロバビリティの犯罪」ではないが、スタッフに事前に怪談話を仕込んだり、わざと霊感の強いアナウンサーを呼んだとは考えられる。
 ようは、何かが起こればいいな、といった程度のことは考えていたのだろう。

 それにしても、天井が崩れたときは定かではないが、それ以外に三人が被害にあっている。
 うち一人はプロデューサー仙童であるが、殺人事件と同じようにノミで射されてしまう。おそらくは死んだであろう。呪われた場所で死者を冒涜した報いを受けたのだろうか?
 本番直前に失踪したヤスはどうだろうか?
 彼については、失踪した原因も、何処に行ったのかも不明だが、おそらく今回の本番前の異様な緊張に耐えられなくなり山の中に逃避したのではないか。
 山の中に何が得体の知れないモノが住んでいる可能性もあるが、夜の山道というのはそれ自体が危険である。彼もただでは済んではいないであろう。
 そして、リハーサル中に倒れてしまった矢島祐子についてはどうだろう。
 彼女はこの館の異様な空気、と言うよりも、壁に掛かった顔のオブジェに感化されたのだろう。(後述)
 そして彼女は、この館に居る幽霊に取り付かれてしまうことになる。

 仙童は何をしたかったのだろうか。
 彼はテレビを通じて、ある種の感動を伝播したかったのではないか。それが最も効果的なのは、恐怖、というわけだ。

 かつてはTV放送はメディアとしての中核を成し、殆んどの日本国民は時間を共有するものだった。生放送ともなれば、そのライブ感は相当なものではなかったか。
 そうTV放送とは全国レベルでの、巨大な芝居小屋であるとも言える。
 それがメディアの発達、価値観の多様化とともに、人々はTVを離れ、或いは観たとしても録画したものである。
 もっと云ってしまえば、ネットワークの発達により、発信者は選ばれた人間ではなくなり、中身の質さえ問わなければ、だれもが情報の発信者になれる時代だ。
 この状況が、長年メディアの王者としてTVに携わってきた仙童が面白いわけがない。
 だから、彼は自分にしか出来ない演出、彼の自論である「恐怖の伝達」を実行し、より濃く、強い情報の発信を求めたのではないか?

 さて、恐怖の伝達とは何だろう。
 仙童によると、強い感情である恐怖であるが顔の表情によって生み出され、伝播し、周囲にその感情を蔓延させる。
 つまり一人が感じた恐怖が、恐怖に歪んだ顔を通じて、周囲に広がっていくのだな。
 で、その恐怖が蔓延した場で何かが起こるのを仙童は期待していたようだが、それが人為的なものか、あるいは超常的なものかは判断つきかねる。というより、本人も判っていなかったようだ。
 あるいは目的など無く、単にそういう場を作り出しそのライブを放送したかっただけかもしれないが、しかし、どうやらこれが変なものを呼び込んでしまったらしい。
 館の天井が崩れたのは、恐怖が呼び込んだ悪霊か幽霊の仕業、と見れないことも無いが、ここでは別の考えを述べたい。

 これは彼らが自らの恐怖が招いた結果ではないかと。

 解説する。
 前作「ヒトガタ」、及び「右365度の世界」で述べたような「世界は人々の思念で構成されている」という考えである。
 世界は人々のイメージによって構成されている。つまり、こうあってほしいと強く願えば、それは叶うという訳だ。
 但し一人が願っても、他の人間がそれを望んでいない、或いは無意識のうちに常識で世界を捉えている場合、大抵の場合、願いが現実に反映される前に押さえ込まれてしまう。

 しかし、もしその場に居る人間全てがそれを望んだとしたら、どうだろう?

 あの館で本番前の緊張した状態で恐怖が伝播し、場を支配した。
 そして「何かが起こらないわけがない」と全員が考えたことによって館の天井が崩落した、のではないだろうか。

 最後に現れた芸術家の妻の幽霊についてはどうだろう。
 これもまた、アナウンサー後藤の話に感化されたスタッフの思念が倒れた矢島に憑依し、人を殺すように行動させたのだ、とも考えられる。
 しかしこれについては人間が捉えきれない「闇」の存在(それが幽霊か魑魅魍魎の類なのかは不明だが)からの警告であると取ることも出来る。

 どちらにしても、げに恐ろしきは人の心の「闇」、か。

ではまた来週。

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コメント

うーん、なかなか鋭い解説ですね、あと、仙道が暴こうとした、スキャンダルって
あ、これ公式で書いちまった。。
あと、柳田邦夫、ここらへんまで突っ込めれば、、うう、難しい。

投稿: バーべQ | 2004.09.26 16:05

コメント有難うございます

今回は難しいですね。ウルトラQというドラマを作ることについて、軽くメタ入っているところもあるし。
出てくるタームは結構多いし多岐にわたりますが、どれが本筋に関係しているか、実はまだ絞り込めていない状態です。
2~3日だらだらと思った事を書いていましたが、取留めもない文章になったので、公開するのを止めようかとも思いました。

2chで読んだので今ひとつ信憑性は薄いのですが、仙童は若いころの実相寺監督をイメージして創られたそうです。
このあたりから、人物関係について考察したかったのですが・・・難しくて断念。
些か心残りです。


投稿: 一伽貝 | 2004.09.26 18:13

名探偵コナン「するとこの殺人事件の犯人は幽霊、、、フッフッフ、まさか
!!!!このトリックと、新犯人は!!!」
コナン君には、分かったようですが、バーべQには、まだまったく不明です。
二重投稿は避けているつもりなので、ヨロピク

投稿: バーベQ | 2004.09.28 20:00

とりあえず、決着つけてしまいましょうか
つまり、ある種のこのドラマの見方の結論な
「だけ」の訳ですが
犯人は、この現場に居た人全員

えーー!

プロパティ、確率の犯罪な訳です。
ところが、全てうまく事が運んでしまった。
不完全犯罪であるところ完全犯罪
目撃者・証言者はこのドラマを見ていた人、全員
お分かりにならない方は、一番上に戻ってもう一度
読み返してみましょう。


投稿: バーベQ | 2004.10.08 21:02

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