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ウルトラQ dark fantasy 右365度の世界

さて「ウルトラQ dark fantasy」第二十三話「右365度の世界」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

 今回は量子力学をモチーフにした話である。
 正直に言うと量子力学は良く理解していない。
 以後の説明に間違った点があっても、許して欲しい。
 
 さて量子力学に置いて、粒子レベルの世界は確率の世界である。
 量子力学では観測者が重要であり、陽子の周囲を回転する電子は、観測者が観測をしていないとその軌道や存在は確率として存在しているだけであり、観測した瞬間に、その位置が確定するという世界である。
 まあそこまでミクロの世界だと、観測するだけでも干渉が行われることになるので、粒子レベルで正確なことなど人間が知りようも無い。
 結局、そんなものは確率でしか知りようも無いしそれで何とかなる、という言い訳が量子力学の原点だと私は解釈しているが、この考えで世界を構成していくとなんだか怪しい世界となる。
 「シュレディンガーの猫」の話などその典型で、一定の確率で毒ガスの噴出する箱の中にいる猫は死んでいると生きている状態が同時に存在しており、箱を空けた瞬間に、そのどちらかが確定する、という量子力学に対する反証である。(まあ実際には箱を開ける前に猫はどちらかの状態になっているだろうが)
 今回の話はこの「シュレディンガーの猫」の例を元に構築しているものと思われる。今回キーになっている猫、アメリカンショートヘアの名前もシュレディンガーだし。

 さて、この考えを推し進めていった渡来教授の世界観によると、世界は確定していない靄の中の世界であり、人間一人ひとりが世界を観ることにより、世界は観測者の思考によって構成されていく。
 人間が居ないと世界は構成されず、たとえば、地球に居る全人類60億人が誰も月を見ていなければ月は存在していないのかもしれない。
 また一人だけが月を見ていたなら、それはその人が思い描く月になるのだろう。例えば月にウサギが住んでいると思えばウサギが居るし、あるいは月は巨大なパンケーキだと思えばそうなるに違いない。

 では世界を構成しているものとは何か。
 それは集団が持つ共通の幻想である、ということになる。
 イデアというものが存在しているのなら話は別だが、観測者が多数の場合、多数決でその属性が決まるのだろう。
 大多数の人間が月は「地球の衛星であり、空気も水も無い荒涼とした世界」と思って観測しているから、月はそうなるのだ。
 つまり世界とは「人が持つ世界のイメージ」の最大公約数であり、だれかが観測してそれを確定させているのだ。
 渡来教授の云う、世界は脳内の量子振動であるとは、そういう事なのだろう。

 さて「あらゆる事象は確率として存在」していており、観測されたものとは別の事象が存在しているという学説も量子力学にあるにはある。つまりパラレルワールドが存在するということだ(多世界解釈のことだが、正確にはこれはパラレワールドを肯定しているわけではないらしい。ただ今回は量子力学をモチーフにしたSFなので、都合良く解釈させて頂く)。
 パラレルワールドを普通に考えた場合、その数はおそらく無限であろうが、虹の波動装置によって吉安が作り出した「右365度の世界」とは、観測者毎が一人である世界なのだろう。
 つまり地球60億人(あるいは全生物を含めるともっとかもしれないが)分の世界が存在していることになる。
 その「右365度の世界」は、観測者の脳内の世界に対するイメージがそのまま世界に反映される様だ。
 女生徒そらが迷い込んだ彼女の「右365度の世界」はつまり彼女の脳内世界の投影である。つまりは夢の世界ということだな。本作のもう一つのモチーフが「不思議の国のアリス」であるのはここから来ている。
 その「右365度の世界」は思考パターンによって世界の位相というか、密着度が決まるらしい。吉安と、そら、は比較的思考パターンが似ている(物理学を専攻し孤独を好む)為、世界の位相が近く、互いに相手の姿を確認出来ないが、携帯での通話は可能だった。
 また「右365度の世界」は観測者のイメージがそのまま投影される世界であるなら、実は世界をどのようにも変えることも可能だろう。
 彼らがそれが不可能だったのは、普通の世界に慣れすぎており、そもそも世界を自由に変えたいという発想が出来なかったのだろう。
 そら、の涙が「右355度の回転」を世界に与えたのは、普通の世界に戻りたいと強く願った結果、彼女の「右365度の世界」がそれをもたらしたのだ。
 これはあまり元の世界に戻りたくない吉安には出来なかったのだろう。

 それにしても自分以外に観測者が居ない世界を何故、吉安は望んだのだろう。
 比較的社交性はあるようなので考えにくいが、物理学の天才でなかったなら、彼はただの引篭もりになるように思える。
 まあ、誰も居ない世界に行きたい、人と関わるのが煩わしい、というのは気持ちは解らなくもない。ただ、それは一過性のものだと思うし、彼もいずれはあの世界から戻ってくるのだろう。

 夢はいつか覚める。
 不思議の世界に行ったアリスでさえ、そうであったように。

 ではまた来週。

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コメント

陽子→原子核では

投稿: バーベQ | 2004.09.12 09:19

2重スリット実験でC60(炭素がサッカーボール状に結合している分子)でも干渉縞を作ることができるようです。
電子よりかなり大きなモノでも確立分布を観測することができます。

投稿: hiraku | 2004.09.12 16:49

http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/saiFrame.html
このページに量子力学とかシュレディンガーの猫の話とかがわかりやすく書いてあります。

投稿: hiraku | 2004.09.12 17:11

コメント有難うございます。

いつもは全然コメントが付かないウルトラQの記事に、いきなりコメントが三つも付いて、ちょっとびっくりですが、なんかツッコミだらけで、自分の無知が恥ずかしい限りです。

投稿: 一伽貝 | 2004.09.12 18:43

このテーマに関しては「量子と混沌」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4805202564/249-3671279-6272351
がお勧めです。ちなみに原題は「Atom in the Shell」です。

確率的な世界認識は結構基本です。すべての「覚え違い」はパラレルワールドへの転送の結果かもしれません(さよりなパラレル?)。

>世界の位相が近く、互いに相手の姿を確認出来ないが、携帯での通話は可能だった。

これは現実においても、文化や世界観が近ければ、言語による意味のある情報交換が可能だけど、そうでない場合、接点がもてない(コミュニケーションができない)ということを指しているのだでしょうか?萌え対象があまりに遠いと意思の疎通ができないとか、、、逆にそこだけでのみ接点がもてるとか、いやとても意味深い、、、

>夢はいつか覚める。

かえって来ない人もいると思うけど、、、というか、帰ってこれる人には、帰ってこなくていい(またはもともと向こう側に住んでいる人とは接点がほとんどもてないんだよね。)また、帰ってきてしまうと帰らない人のことが理解できなくなったり。

参考:思春期病棟の少女たち
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794205562/249-3671279-6272351

投稿: harada | 2004.09.14 02:08

なんか信じられないくらいのレスだ(まあ殆どがウチのライターだけど)。
量子力学論についてはみんな一言あるようで、なかなか手厳しい。

>>世界の位相が近く、互いに相手の姿を確認出来ないが、携帯での通話は可能だった。

>これは現実においても、文化や世界観が近ければ、言語による意味のある情報交換が可能だけど、そうでない場合、接点がもてない(コミュニケーションができない)ということを指しているのだでしょうか?

そうですね。量子力学の世界観を借りている、一種のコミュニケーション論の様な話でした。


>かえって来ない人もいると思うけど、、、というか、帰ってこれる人には、帰ってこなくていい
>また、帰ってきてしまうと帰らない人のことが理解できなくなったり。

確かにそうかもしれません。
アリスに相当するのは、ヒロインである そら なので、帰ってくる役目は果たしています。
また吉安については、家を出てテント暮らしする程に孤独を好む性癖があり、帰ってくるのではないか、とは、やや私見が過ぎたかもしれない、と思っています。

投稿: 一伽貝 | 2004.09.16 02:32

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