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ウルトラQ dark fantasy 後ろの正面

さて「ウルトラQ dark fantasy」第十八話「後ろの正面」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

本作については以下のキーワードがある。

 電脳世界

 「かごめかごめ」の謎

 多重人格

 しかし出てくるテーマというか、エッセンスは多いものの、どれも未消化な様な印象を受ける。
 というより、「かごめかごめ」についてはただのトラウマのキーワードであり、電脳世界や「しおり」の瞬間移動については、彼女の心象世界の映像化のようである。
 つまり「かごめかごめ」という意味深なキーワードや、電脳世界に関する映像は全てダミーであり、結局は多重人格を描きたかったようだ。

 なんていうか、不思議な話を多重人格によって説明しよう(多重人格自体が相当非日常的ではあるのだが)という心づもりなら、別にウルトラQじゃなくても良いじゃないか、その辺の推理ドラマとかでやれよ・・・、というのが第一印象である。

 ・・・と、ここまで書いてからツッコミ箇所を探すために話を見直してみると、おや? と思った。
 多重人格による犯罪、で済ますには不可解ことがあるのだ。

 以下に列挙してみる。

 Ⅰ.被害者の位置特定について
 被害者は「かごめかごめ」メロディが入ったメールを受信して、すぐに殺害されている。

 これは携帯電話からその場所を割り出している、としているが、中継機から場所を割り出すにしても、利用者を数メートル単位で居場所の特定をすることは不可能ではないか。
 また、例え割り出したにしても、そんなにすぐに移動をすることは不可能なのでは。
 まあ、移動については対象者が特定できた場合、犯人が後ろに立った時点でメールを送信すればよいのかもしれない。
 ただこれだと以下の点で矛盾する。
 例えば対象が帰宅中とかで特定時間に中継点を移動しているの調べ、対象が誰であるか何日もかけて特定するとする。
 そして犯行当日に「しおり」を被害者の後ろに立たせて、メールを送り、そこから流れる「かごめかごめ」のメロディによって「しおり」は「猟奇殺人者である少年」に変貌し、被害者を殺害。

 しかしこのときメールは誰が送っているのか?

 「しおり」が送っていると考えた場合、そもそもそれは「猟奇殺人者である少年」であり、「かごめかごめ」を聴かせる必要がないのだ。

 またこれに関連して以下の謎もある。

 半田刑事が最後に「しおり」と逢う前に、坂本が連絡しようとしたが不通。
 しかしその後「かごめかごめ」のメールの着信は出来た。
 これは予め半田刑事を連絡が取れないよう、半田刑事の近くの携帯用中継局をハッキングしてその地域の携帯の発信受信ができないようにしておいたのだろう。こうして孤立させておいて、「しおり」が目の前に現れたタイミングで復活させ、メールを受信させたようだ。

 しかし目の前の「しおり」はそんなことをした様子もない。

 つまり第三者が居る可能性が強い。


 Ⅱ.「しおり」の移動について
 「しおり」は二度も半田刑事の前から忽然と消えている。
 いくら目を離した隙に、とはいえ、ほんの数秒目を離した隙に視界から消えるくらいに移動できるだろうか。
 特に2回目は公園であり、比較的開けた場所である。全速力で走ったとしてもまだ視界からは消えることは不可能に思えるし、物陰に隠れることも不可能なようだ。

 これは瞬間移動したと見るべきではないだろうか。


 Ⅲ.半田刑事のメールアドレスについて
 サイトにアクセス中に半田刑事のパソコンにメールが飛んできた。
 どうして半田刑事のメールアドレスが「猟奇殺人者である少年」に分かったのか。

 これについては3つ考えられる。

  1.坂本に名刺を渡していたが、あれを「しおり」にも渡していた。
    名刺には名前と携帯の番号とメールアドレスが記述されていた。

  2.「殺人サイト」をアクセスする前に、メールアドレスの開示が必要だった。

  3.「殺人サイト」を覗いていたパソコンに対してハッキングを仕掛け、データ
    抜き出した。その後、半田刑事である人物を特定し、メールを送った。

 1については、メールの後に携帯電話番号の入力を求められていることから除外。
 おそらくは2が正解だろう。たまたまそのサイトを閲覧していたのは、坂本と半田刑事だけだったのだ。

 ただここで不可解なのが、「猟奇殺人者である少年」は携帯電話に拘ったことだ。
 映像を見ると半田刑事のパソコンはケーブルで繋がれていない。つまり無線でインターネットに繋がれている。
 パソコンで無線というと
  1.PHS
  2.携帯
  3.無線LAN
 のどれかだろうが、刑事の位置を確定したい場合、このうちどれでも(携帯中継点から位置を特定できるくらいハッキングの腕があるのなら)ある割り出すことはできるだろう。
 また「かごめかごめ」のメロディを送信するつもりなら、パソコン用メールに音楽ファイルを添付すればよいだけの話である。

 つまり、携帯番号でなくてはならない何らかの理由があるのだ。


 Ⅳ.「猟奇殺人者である少年」の人格について
 「猟奇殺人者である少年」については元々麻子の人格の中にはなかった。


 Ⅴ.ラストシーンに出現した「猟奇殺人者である少年」の人格について
 ナレーションがそのまま文章となったHPを見ている女性の後ろに「猟奇殺人者である少年」が出現する・・・。
 メタ的でありやや蛇足感が強いラストだが、なぜ麻子の姿の「猟奇殺人者である少年」が出現したのか。


 さて、

 坂本たちは全て多重人格者とハッキングで全て説明してしまったようだが、それでは上記の点が説明しきれない。
 或いは、映像にあったことは全て作中では本当に起きたことではないか、と思えてくる。

 元々超常現象が起こるのが普通のウルトラQの世界である。

 以下の仮説を立ててみよう。

 少年は電脳世界に生まれた。
 彼にはモラルはなく、ネットワーク上に溢れるインモラルな書き込みが常識であり、それを欲望のままになそうとしている。
 彼には実体が無かったが、「かごめかごめ」により正気を無くした麻子に取り付くことができる。こうして彼は人殺しを実行できる身体を持つことが出来るようになった。
 ただし無個性な麻子はともかく、無垢な「しおり」とは相性が悪いので「しおり」が前面に出てきた場合、分離して電脳世界に居なくては成らない。
 彼はまたネットワーク上では無敵と呼べるほどのハッキング能力を持つ。
 しかも彼は携帯電話網に進入して、自身と憑依した肉体も転送する能力を得るようになった。また特定の肉体を電脳世界に閉じこめておくことも可能。
 ラストシーンで再び「猟奇殺人者である少年」として麻子が現れたのは、「しおり」が消滅して、麻子の身体が自由になる様になったためだろう。麻子が入院中、電脳世界に身を置いている内に新しく設置した彼のサイトにアクセスした人間を殺そうと、ネットワークを介した瞬間移動でやってきたのだ。
 そう、ラストの彼はインターネットのどこにでも出現できるようになったのだ。

 余談ではあるが、「猟奇殺人者である少年」と「しおり」は髪型が全く違う。これは変身した訳ではなくどちらかがカツラであろう。入院中の麻子が金髪であることから「しおり」のロングヘアがカツラである。

 さて、作中では甚だ未消化であり、その割にタイトルになっている「かごめかごめ」である。
 歌詞については、なんせかなりナンセンスというか謎の歌詞なので、これを聴いて麻子の性格が変化するのは、その歌詞を聴いて、昔の体験がフラッシュバックする訳ではないだろう。
 恐らく彼女の父親がこれを歌いながら虐待をおこなったのだ。

 因みに「かごめかごめ」の謎についてはここでは書ききれないくらい諸説あるので、割愛。

 多重人格については、確かに色々と興味深くこの手の番組のネタにはなりそうだが、懐疑的な精神医学者も多いらしい。ただ多重人格で罪を犯しても、日本では無罪になることは無いという。恐らく麻子もあのまま行けば死刑なのだろう。
 多重人格についても突っ込んだ話をする程に詳しくはないので、この辺で止めておく。

 ・・・てか、私もヲタクじゃない、もっと普通な別人格が欲しいんですが。

 ではまた来週。

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