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ウルトラQ dark fantasy 影の侵略者

さて「ウルトラQ dark fantasy」第十三話「影の侵略者」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

 鏡に長時間映っている人間の似姿をコピーし、本物と入れ替わってしまう「影」。
 彼らには善悪の区別がなく殺人や盗みも躊躇しない。
 そんな「影」達が現代の東京に現れてくる・・・

 鏡の中から人間が出てくる。
 彼らは人間そっくりだが、社会というものを知らない、欲望のままに生きる、まるで赤ん坊のような存在である。
元来エゴイスティックな存在である人間は、成長すると共に、親や社会からルールというものを知らされ、社会性というものを得る。
 フロイトでいう「超自我」の形成というやつだ。
 逆に、そう言ったものを学ばないで、いきなり大人として生まれてきたなら、また社会についての学習についてもあまり時間を必要ないとしたら、或いは「影」ようにエゴイスティックな人間だらけになっていたのかもしれない。
 そう言う意味で「影」は、精神を模倣しきれなかっただけの人間である。
 本作のヒロインである「影」の「亜乃留」が、坂本とのふれあいにより最期には彼の為に身を投げ出した事にしても、彼女達「影」は「人間」の精神を模倣出来た証であり、「影」も「人間」も実はそう大差が無いことを示している。

 彼女が人間の愛情を模倣したのは、坂本を得る為だ、という穿った見方もできる。
 ただそんなことを言いはじめると、元々人間や動物の「愛」という感情は異性を求める為の手段の一つである、と言うことも出来てしまう。
 本作で、坂本が亜乃留に愛情と言うものを教える例として母親と子供の関係を挙げていたが、あれも自分の遺伝子を持った子供だから愛情が湧くという端的な例であり、突き詰めて言うと情愛や博愛などという人間感情も生物が持つある種の装置である。
 ・・・リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』の話になってしまうので、人間感情論についてはこの辺で止めておくが、要は彼ら「影」も、環境次第では普通の人間と同じように生活が出来たのではないだろうか。

 さて鏡の世界からの来訪者である「影」達について少し気になることがある。
 鏡のなかから出てきた彼ら「影」の似姿は、オリジナルを鏡面反転したものである。
 身体の中身それに準拠するなら、彼等は概ね左利きであり、内臓の位置も左右反転。
 もっと言ってしまえば、身体を構成するタンパク質も鏡面反転しているのではないか。
 所謂アミノ酸の光学異性体、「l型アミノ酸」と「d型アミノ酸」の話である。
 自然界の生物は「l型アミノ酸」しか持たない(最近の研究ではd型アミノ酸も人間の体内に存在するらしい)。
 だから鏡の中から取りだした「d型アミノ酸」食料は我々「l型アミノ酸」の生物には吸収されず、逆もまた真である。
 つまり「影」達がこの世界でどんな食事をしようが、それは栄養にならないのではないか、と言うことだ。

 正直、判断材料が少ないため、これについては良く解らない。
 取り敢えず仮説を三つ挙げておく。

  1.「影」達は人間の似姿を模倣しただけの、全く別の生命体である。よって栄養の補給は必要ない。
  2.「d型アミノ酸」の食料を鏡の中から取り出している。
  3.タンパク質が「l型アミノ酸」の身体になった。

 上で散々「影」は人間そのものである、と言っておきながらだが、個人的には、1ではないかと思う。
 「影」は姿だけでなく、精神的にも人間の模倣は可能であるが、しかし、物質的に、生物学的には人間とは違う生き物ではないか、というのが私の見解だ。 

 ところで、冒頭に出てきた詩の引用元であり、渡来教授の持っていた本「コントラ・トリニタス」であるが、これは「反三位一体」(Contra-Trinitas)の意味であり、悪魔の姿を現すものである。
 だが、果たしてそんな書物が現実に存在するかどうかは不明。
 ただ「影」は神に追いやられた悪魔のイメージに近いので、それを記した書物としては象徴的な名前だと思う。

 しかし今回の話は、「ドラえもん」の「ふえるミラー」の話だなーと思った。

 ではまた来週。

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