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「忘却の旋律」(第二・三話)感想文(ネタばれ注意!!)

…どんどん作画枚数が減っていく。下手すると一本1000枚以下なんじゃないだろうか。これで情報量を増やせと言われても、かなりしんどいような気も。しかしこんなことで榎戸先生は負けはしない。がんばれ榎戸先生!!

<第二話>

 さて今回でいよいよ主人公が旅立つわけですが、実はこれは非常に大きな意味を持っています。「エヴァンゲリオン」「少女革命ウテナ」「アデュレセンス黙示録」と共通するテーマは“閉じた世界から脱出”でした。エヴァの場合は榎戸先生の途中降板ということもあり、主人公が閉じた世界を認識することしかできませんでした。ウテナ、黙示録のテーマは明らかに“閉じた世界”を認識することであり、クライマックスはその世界からの脱出でした。しかしウテナ、黙示録では脱出で話が終っており、その後どうなったかは描かれていません。そして本作「忘却の旋律」では、ついに主人公が最初から“閉じた世界”にいることを認識しており、第二話にしてそこから脱出を図るのです。つまり黙示録的に言えば、ウテナカーによる疾走が第二話にして始まったわけで、榎戸体系的に見れば、本作を読み解くことによって、(両方の)ウテナが最終回の後にどうなったかをも示すことになるわけです。…しかし今回はつまんない話だったよね?。榎戸先生はウテナの時もそうだったんだけど、エンジンがかかるまでの何話かは、どうしても設定を説明することに終始してしまうものになってしまいます。ウテナの時も、本当にエンジンがかかるのは「光さす庭」辺りからだったし。

 今回も細かいところを幾つか。両親が賄賂をばら撒きまくるのは、何かトラウマとかあるんでしょうか。っていうか、あの中は本当にお金なのかな。なんかもっとやばい物が入っているような気がするんだけど(笑)。ガネっ娘のいう「お祝い」も、本当ならエロいことなんだろうけど、これももう一つ裏があるような気も。って疑り深過ぎ(笑)?。今回のモンスターは「ミノタウロス」。ミノタウロスは結果として糸(正確には毛糸玉)によって退治されるモンスターであり、糸をモチーフとする本作においては、初回には最もふさわしい選択だったと言えるでしょう。でもデザインは最低。これで榎戸先生の要求どおりだったんでしょうか。モンスターデザイナー、出て来い!!。最後の黒船の「いいか、君は選ばれたわけじゃない、君が自分で選ぶんだ。選ぶのには覚悟がいる(後略)」という台詞は、とても胸が痛いところ。エヴァの時に庵野監督がアニメファンに対して相当きつい事を言っていたけど、それって榎戸先生の考えが色濃く出てたんではないでしょうか。フリクリも、無思考の人間に対しては相当きついメッセージを含んだ作品だったし。

<第三話>
 
 今回のテーマは「人形」。冒頭の波打ち際に打ち上げられた人形が、それを象徴してます。噴水とか天使像、コケシとかもね。ただ第一、二話でもモンスターによって人形に変えられた人々が描かれており、理想化された「安保闘争」という見地で言えば、“日本人はアメリカ人によって人形同然にされている”という痛烈なメッセージを全編で語っているのだから、普遍的なテーマと言えるかもしれません。そういうわけで、今回のモンスターが人間を人形に変えてしまう「メデューサ」なのは当然すぎるところでしょう。ホテルに吸い込まれていく人々が、みんなキューピー人形なのは、ホテルの経営者の妹がなぜ「キューちゃん」なのかを示すためのヒントも兼ねています。若旦、経営者の正体がバレバレなだけにね。へびはなび=メデューサ、なんてのは蛇足ですね、すいません。せめて天使像の中にメデューサに石に変えられた少年が混じっていることに気がつければ、とりあえずは合格というところでしょうか。

 今回の細かいところ。「やだあ、ボッカ、テント張ってる~」「手羽先だけに、手先ねえ」は、榎戸先生お得意の駄洒落。榎戸先生はウテナの頃から、エッチな表現を恐れなかったし、ギャグも大好き。赤灯台、霧、オーロラが何を意味しているかは今のところ不明。まあモンスターが日の光を嫌いだというだけのことなのかもしれないけど。対ロボット怪獣(?)戦でボッカのアイバーマシンが飛んでいるようにしか見えないのは、演出上問題。少なくともこの時期はアイバーマシンが地面しか走れなくて鈍重という演出をしておかないと、飛べるようになることの意義をきちんと表現できないのでは。傷の手当てをされるキューちゃんも、もっと色っぽく描いて欲しいところ。この辺りは、ウテナとか、しっかりしてたんだけど。

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コメント

投稿有難う御座います

さて、モンスターについてちょっと補足させて下さい。

「ミノタウルス」については第一話で「ここは迷宮だ・・・」云々の話があるので、多分間違いないでしょう。子供を生贄にして食べてしまうところなどそっくりです。

さてあの少女が「メデューサ」であるか?、についてはちょっと保留。なぜなら、石化させるモンスターについては「コカトリス」や「バシリスク」も居ます。そして第5話を観ると、あのロボット怪獣については「コカトリス」であるんじゃないかな、と思う訳ですよ。

で、実は「コカトリス」とは「バシリスク」から派生したモンスターなんですな。

丁度「バシリスク」は蛇のモンスターであるし、あの少女のモンスターは「メデューサ」ではなく「バシリスク」ではないか・・・と思うんですが。
ま、詳しくは次回にでも。

あと「アリアドネの毛糸玉」(ミノタウルスの迷宮から脱出する時につかった毛糸玉)について着目していますが、

 「この世界」=「迷宮」=「閉じた世界」

から脱出する鍵

 「アリアドネの毛糸玉」=「忘却の旋律」

とも考えられますね。
まあ「忘却の旋律」が弦楽器によって鳴らされているものと仮定した場合ですが。

以上、駄文、申し訳ありません。

投稿: 一伽貝 | 2004.05.10 23:18

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