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ウルトラQ dark fantasy 楽園行き

さて「ウルトラQ dark fantasy」第六話「楽園行き」の感想である。

(以下、ネタバレ感想)

 「楽園行き」と謎の言葉を残して、閑職になったサラリーマン巽は失踪。
 巽の娘から依頼を受け、坂本は東京の地下にある「楽園」へと辿り着く。
 そこは世捨て人が集まる地下のコロニーであった。

 また貧相な「楽園」だな、というのが正直な感想である。

 単純にみれば、社会をドロップアウトしたホームレスの集落の様だ。
 が、ホームレスが雨露を凌ぐ為にねぐらの確保に努力し、今日の糧を獲るのに東奔西走しなくてはならないのに対して、地下なので取り敢えず雨露は凌げ、殆ど何もしていないような労働(電気泥棒)で食料は得られる。
 衛生的にちょっと厳しいものがあるが、殆んど寝ていても食べていけるのだから、なるほど「楽園」と言えなくもない。

 今回の主人公のひとりである巽にとってはどうだろう。
 彼は元々閑職が嫌で「楽園」に逃避した。
 最初の内は、上手くいかなくなった自分の人生に嫌気がさして「楽園」を目指したのかもしれない。いままで築き上げてきた家庭や会社の地位、地域社会という人間関係。時間に縛られた社会(会社)生活。
そういったものをリセットして自由になりたい、という気持ちは解らなくもない。

 しかし「楽園」で待っていたのは、それまでとうって変わった怠惰な日々であろう。
 元々仕事を生き甲斐にしていた人間に、果たしてあのような生活が耐えられたのだろうか?
 迷路の地下道を脱出できないと言っていたが、それまでしつこく配達人を追いかけてきた人間であれば、あるいはこつこつと道順を解き明かし、脱出できたのではないか?。

 巽はこのまま「楽園」で静かに暮らし、死を待ちたいとまで言う。所謂モーレツ社員であっただろう彼にとって、この境遇は既に緩慢な死を迎えているといっても過言ではない。

 そんな死に体である彼は、しかし、ネズミ取りに襲われた時に一緒に逃げようと誘った坂本の申し出を断わるばかりか「楽園」を守るために戦おうとする。

 現実では見えにくく、曖昧になりがちな、直接的で暴力的な死がそこにある。
 カネを経由せず、労働によって今日の糧を得ることによる今日の生。
 直接的な暴力からくる死をくぐり抜けることによって得る生。
 穿った見方かもしれないが、安楽した生活を送りたいと嘯く巽は、その実、危険な「楽園」生活に対して生きている実感、つまり生き甲斐を見出してしまったのではないか。

 何かに己を懸けられる場所。それが「楽園」なのかもしれない。


 さて今回も、まず設定について整理してみる。

 「楽園」
 廃棄された地下街(ジオフロント)に浮浪者(?)達が住み着き、それを拡張していった一大地下住居。
 現在、百人近く済んでいるという。
 地下通路や地下鉄、果ては地下のライフライン網経由で辿り着けるが、しかしそこへの道順は「配達人」のみ知っている。

 「配達人」
 高性能バッテリーと交換に衣料品等の生活物資食料を「楽園」の住人に支給する。
 また、地下の住人になりそうな人間を見繕い、連れてくるということもやっていて様だ。
 何人いるか不明ということだが、恐らく複数人いるのだろう。何らかの組織に属しているとも考えられる。
 楽園の住人に労働させるわけでもないし、唯一(?)の生産物として高性能バッテリーがあり、それを地上で売りさばいている(場合によっては賞味期限切れの食料品と物々交換)が、しかしそれによる利益はあげていないように思える。

 「ネズミ取り」
 白づくめの化学防護服を身に纏い、毒ガス放射機を手に楽園の住人達の駆除を行う。
 謎の歩兵戦車(?)と共にやってくる。
 戦車や銃からレーザーサイトを照射するが、用途は不明。何せ実弾を放つ武器を携帯していなかったからだ。
 なお、防護服を脱がなかったので、その正体は不明。日本語で叫んでたので、日本人の可能性は高いが、日本国民ではないのかもしれない。あるいは人間ではないのかもしれない。

 さて、今回は設定が多い割に、付随する情報が不足している為、結論めいたものを書くのは少し厳しい。
 いつものQ&Aはやめて、考察のみ記すことにする。

 気になるのは「楽園」および「配達人」の目的。
 そして「ネズミ取り」達の正体である。

 「楽園」および「配達人」の発生理由、存在目的としては、次の様なものが考えられる。

 A.ホームレス達が自発的に共同体を築き「楽園」システムを創設。
   「配達人」についても創設者が提案し、運営する。

 B.「楽園」とは秘密裏に戦闘場、又は人体実験体の提供を行う為のシステム。
   基本的にはネズミ取りとの戦闘(生け贄)が目的である。
   「配達人」は適当な人間を集める事を目的に、国あるいはそれに匹敵する機関が設けた。

 C.「楽園」とは、地下に人員を押し込むことにより、何らかの利潤をあげる。
   或いは地下にコロニーを築くことにより何かの実験を行う。
   Bと違い、人員を集めコロニーを築くことが目的である。
   「配達人」は適当な人間を集める事を目的に、国あるいはそれに匹敵する機関が設けた。


 「ネズミ取り」の正体については、次の様なものが考えられる。

 α.軍の特殊工作員。
   軍事訓練、又は、毒ガスの対人実験。自衛隊かもしれないし駐在アメリカ軍ということも考えられる。

 β.国、或いは都の清掃局員
   地下に住む者は年金も税金も払わず、都市のライフラインに寄生するだけの害獣である。地上にいるホームレスは人目につくため駆除できないが、誰も見ない地下では殺しても構わない。
   また「楽園」システムを公にして人員が流出することを避けるため、その存在を公にしたくない。その為「楽園」に関わる者の抹殺。

 γ.地底人
   「楽園」開設前からの地下迷宮の住人(人間かもしれないし、そうでないかもしれない)が、自分のテリトリーを守る為の自衛行動である。又は近い日の地上侵攻の為の軍事訓練である。


 これらの組み合わせを考えると、以下の様な説が考察できる。

 1.自然発生説(A+α、A+β、A+γ)
 地下空洞を見つけた時、ホームレス達は自らが安心して住めるように楽園システムを開発した。
 それは世間的に浮いた者達を緩いホームレス生活に導く事によって救い出すシステムである。
 大容量バッテリーを開発したのも、この先駆者達だろう。
 「配達人」は慈善事業(ボランティア)のつもりだろう。配達人は、先駆者達が亡くなった後も、その遺志を継ぎ、地上で爪弾きになった可哀想(?)な人々を集めているのだ。
 「ネズミ取り」達は、どのような目的であれ、「楽園」の住人達を脅かす単なる敵である。

 2.軍事モルモット説(B+α)
 「楽園」とは軍の訓練のため、或いは兵器実験のために集められたモルモットである。

 3.社会不適格者抹殺システム説(B+β)
 「楽園」とはホームレスの減少させるため、そうなりそうな社会不適各者、又はドロップアウト予備軍を人目につかないように一カ所に集めるシステムである。

 4.領土確保人員説(B+γ)
 「楽園」とは地底人の地上侵攻を水際でくい止めるため、囮のコロニーである。

 5.秘密組織ジオフロントコロニー実験説(C+α、C+β)
 世間的に失踪させ、夜逃げや保険金詐欺の幇助を目的としてるとも考えられるが、集める人間が無作為であるところを見ると、人数確保のみが目的であるようだ。
 労働力の確保とは考えにくいので、地下コロニーでの生活実験と考えた方がよいのかもしれない。
 「配達人」は国ではなく、何らかの秘密組織に属しているのだろう。
 「ネズミ取り」が来るのは、「配達人」に取っても事故なのだ。

 6.国家ジオフロントコロニー実験説(C+γ)
 目的は「5.秘密組織ジオフロントコロニー実験説」と同じだが、敵が日本(又はアメリカ)でないということ。


 私としては「自然発生説(ネズミ取りは都の清掃員) (A+β)」が妥当と考えるが、どうだろうか?

 今週もまた怪人も怪獣も登場しなかったが、それでも今回は満足してしまった。
 地下迷宮ってなんか浪漫を感じてしまう。近くて遠い異世界、地下迷宮、地下都市。それは都市に隠された秘密基地って感じで、なんか琴線に触れるものがある。今週はそれでおなかいっぱい。

 因みに「楽園」に行きたいか、私が問われると、ちょっと考えてしまう。
 寝ていても飯が食えるというのは魅力的だが、まず衛生的にアレなところでNG。
 何より、新しい本が手に入れられないTVが観れないネットもできないというのはダメだ。三日も持たないに違いない。

 ・・・すっかり社会に飼いならされているな。オレ。

 ・・・いやあれか。ドロップアウトしたらヒッキー(引きこもり)になるんだろうな。きっと。

 ではまた来週。

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