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キャラねっと の 感想

少し旬は外れているが、先程、読了した「キャラねっと」について書こう。

 さて、ミステリー界の異端児「清流院流水」の最新刊である。いつものようにとにかく分厚い本だ。描写が細かく、よくこれだけの文章を書くものだ、といつも関心する。
 ただ元々ザ・スニーカーに1章づつ連載していたものをそのまま掲載したらしく、章が変わる度に前章の説明が入る。雑誌掲載時にはこれでよいのだろうが、文庫化した場合は連続して読むので、それまでの流れを分断する様で少々苛々とさせられたのが残念な点だ。

 物語は、というと、キャラねっとと呼ばれるMMORPGで謎の殺人事件が起こり、それを解決する。そして主人公らはゲーム管理者からデバッグ探偵を任命され、様々な事件を解決していく・・・といったモノだ。
 副題に『愛$探偵の事件簿』とあるが、起こる事件は事件は余りに少く、どうも作者自身がコンピュータに詳しくない為か、謎も基本的には人間心理の隙をついたものであり、ぶっちゃけ推理小説としても、コンピュータSF小説としても、あまり濃いモノではない。
 この辺りは本作の弱点に思える。
 ネット上で事件を起こしても、所詮ヴァーチャルなもので緊迫感がないし、それにそれ以前にキャラ操作して事件を捜査するのは無駄じゃなかろうか、と思う。
 それよりもそんな事件が起こっているなら、ゲーム管理者(SE?)共は、まずログ見ろよ、と言いたくなる。バグならバグで、現象を洗い出してからソースとにらめっこが普通だろう。
 っていうか、SE名乗るなら、金払っているユーザにバグを探させるな!
 うーむ、書きながら怒りを覚えてたぞ(笑)

 しかし、私はこの小説について、実はあまり否定的ではない。
 きっとMMORPGの探偵モノというのを、誰よりも先にやってみたかったんだろうな、清流院流水は。
 アイディアを思いついても、それを実際のモノにするのは難しいし、大変な労力を必要とする。前にも書いたが、清流院流水をもっとも誉めるべきなのは、子供じみたアイディア(失礼!)を、優れた文章力で、膨大な量の原稿用紙に書き連ねることができる、その技量と力だと思う。
 カーニバルなんて、だれがあんなオチで、分厚い文庫本を5冊も書くものか。普通なら書く前に思いとどまりますって。(まあ、カーニバルの頃は叩かまくっていたのか、ちょっとルサンチマンめいたモノもでてきたが・・・獣人とか)

 そんなわけで「キャラねっと」もそんな思いつきで産まれたモノだろう。ただ今回は小じんまりと綺麗にまとまり過ぎてたことや、トリックが薄いので、個人的にはやや食い足りないものもある。
 まぁ、流水大説のあの独特の文章を楽しめたのでよしとしよう。

 しかし、今回後書きがやけにしおらしい、というか自虐的なんですが・・・これはきっとブラフ嫌みなんですよね?

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