« 芝桜 | トップページ | 誰もがパスする「ニッチアニメ」の奨め<パート1> »

「忘却の旋律」(第一話)感想文(ネタばれ注意!!)

 3年ぶりの榎戸洋司先生の新作。国宝物です!!。しかしこの三年間、本当の意味で読み取り能力が必要とされる作品が無かったため、筆者の読み取り能力も著しく減退しており(泣)、どこまで核心に迫れるか今一つ自身が無いのですが、ま、せっかくの機会だし♪(どうせ誰も見に来ないと思うんで、いつもの調子で行っちゃいます)

 まず感じるのは、庵野監督(エヴァ)、幾原監督(ウテナ)、鶴巻監督(フリクリ)と比べて、画面の密度が非常に低いと言うこと。キャラクターが大きく表記され背景があまり写らないので、この作品の本質として第一話では「モンスターに戦争で負けた筈なのに何も変わっていないいない日常」をしつこい位見せておかなければいけない筈なのに、今一つ見せ切れていないように感じます。これは錦織監督(コンテも)のせいなのか、予算、時間、のせいなのか分かりませんが、非常に残念な所です。むしろ錦織監督は、榎戸脚本に対するノイズ(本来の構成意図と異なった絵)を挿入することを恐れるあまり、逆に要求された絵以外を一切見せないという方針なのではないかとまで勘繰ってしまいます。

 榎戸先生と言えば「母親不在」「閉じた世界」がいつものキーワードですが、今回はこの双方から脱却した構成に見えます。しかし「閉じた世界」に関しては、主人公が存在する世界自体がそうである可能性が高いし、母親に関してもすぐに出てこなくなってしまいそうなので、なんとも言えませんが。むしろ榎戸先生の世代に共通するモチーフである、「安保闘争」の影響が強いように思われます。つまりアメリカに占領されたままの日本に対する抵抗感と屈辱感、そして無力感といった感情です。自衛隊のイラク出兵問題などを考えると、非常にタイムリーと言えるかもしれませんね。冒頭に語られる「20世紀にあった大きな戦争」が第二次大戦の隠喩であることは、言うまでも無いでしょう。要はモンスター相手に、あるべきであった「安保闘争」を行っていこうというのが、本作の趣旨ではないかと考えます。

 もう一つの本作のモチーフは「糸(弦)」です。旋律を奏でる弦楽器と、モンスターを倒すべき弓の弦。EDテーマの最後の白地の線画も、糸の動きを象徴しているのは間違いないでしょう(っていうかシリーズ構成全般を最終回まで全て表現している可能性もある。だとしたら本当に凄いんだけど)。高校教師が矢の無い弓(和風でしょ?授業ではアーチェリーだったけど(笑))を射ていたことと、ボッカが本物の矢を射ていたことがそのことを象徴していると思われます。おそらく「メロス」と「メロディ」も、なんらかの掛詞になっているのでしょう。そしてこれこそが、本作の最終テーマに絡んでくるタームなのではないかと考えます。ウテナが剣を鍛える話であったように、フリクリが変わらない日常と言いながらどうしようもなく変わってしまった日常を描いた物語であったように、忘却の旋律は、心の弦を失ってしまった我々に対する物語になっていくのではないしょうか。ま、榎戸作品は最終回にどんでんがえしが待っているので、現時点での情報が全てダミーであるということも十分にありえるというところが恐ろしい所なのですが(笑)。

 後は細かいところを幾つか。モンスターがケイに腕時計を返すシーンなんか、芸が細かいねえ。市長と秘書が人形に変わってしまうシーンは、後に大きな意味を持ってくるはずなのに、ちょっと見せ方が弱いと思う。バイク(アイバーマシン)というモチーフは、フリクリのヴェスパで勉強した成果かな?。バスモンスターはかっこ悪すぎ、モンスターデザインは誰だっけかな~(笑)。音楽のインパクトもイマイチ、今までが恵まれすぎてたのか?。日本人を象徴してるはずのメロスの戦士の名前が「黒船」なのが納得いかない、いずれ敵に寝返る伏線なのか?。

 というわけで、短文ですいません(自爆)。次回(あるのか?)に備えてこんなところにしておきます。では皆様も筆者同様、「忘却の旋律」は正座して見ましょうね(笑)

|

« 芝桜 | トップページ | 誰もがパスする「ニッチアニメ」の奨め<パート1> »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

リアルに見れないのが残念ですが、面白そうなのでないによりです。監督との組み合わせで榎戸脚本を比較するのは、わかりやすい説明ができるかもだし、面白いかもです。いずれきちんと書いてみてください。

投稿: harada | 2004.04.18 07:32

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26541/452324

この記事へのトラックバック一覧です: 「忘却の旋律」(第一話)感想文(ネタばれ注意!!):

» 『忘却の旋律 第三話』 [28時の刹那主義]
 二話見逃しの流れで、昨日三話視聴。  一話で正直ピンとこなかった(ガネっ娘はOKだ。no problem)わけで、期待していなかったのですが、三話の異常... [続きを読む]

受信: 2004.04.21 19:22

« 芝桜 | トップページ | 誰もがパスする「ニッチアニメ」の奨め<パート1> »